中学受験と習い事との両立はムリ!?親たちが考えるべき取捨選択
受験のために習い事を辞める?辞めない?
中学受験を目指しているご家庭では、受験に専念するために習い事をやめさせることがよくあります。
実際に、習い事をやめる子供が最も多くなるのは、小学校5年生の時期です。
この時期に塾の勉強がぐっと本格化するため、習い事まで手が回らなくなるのです。
一方で、進学塾での勉強がそれほど負担なくスムーズにできていたり、学習内容を効率よく短時間で身に着けられたりする子どもは、6年生になっても習い事を続けている場合もあります。
中学受験があるからといって、必ずしも習い事をやめる必要はなく、子どもの勉強の状況を見て、話し合ってから決めるのがいいでしょう。
しかし、サッカーや野球といったスポーツ活動は、塾のテストや講習会などで試合に出ることが難しくなるので、辞める子供が多いのも現実です。
ピアノやバイオリンなどの音楽系は発表会を避け、短時間のレッスンだけを続けるのであれば受験との並行も可能でしょう。
書道などの教養系は、体力的・時間的な負担が大きくないため、続ける子どもが多い傾向にあります。
中学受験と習い事の両立
親と子供の意見が対立したら
子どもは習い事を続けたいと言うけれど、親は勉強に集中してほしいと考えるケースは珍しくありません。
このような時に、子どもが習い事をやめることを納得できるように説明できないのは、実は親側が勉強だけに集中することを納得していないからという場合が多いようです。
本気で習い事をやめさせたいと考えるなら、
「今は受験勉強に専念させる方が、子供の人生にとって価値ある選択なんだ」
と胸を張って言えるくらいの確信がないといけません。
そうでなければ、子どもの「習い事を続けたい!」という強い思いは覆らないのです。
そして、子供の強い思いを越えていくには、中学受験をすることがどれほどすばらしいことかを伝えることです。
そのためには、保護者が受験しようとしている学校についてしっかりと調べることが重要になります。
入学している生徒たちがどんなスクールライフを送り、どんなクラブ活動をしているかを知り、そこに我が子が通学する姿をはっきりとイメージ出来るようにしてください。
そのうえで、「きっと楽しいよ。だから勉強を頑張ろう」と伝えてみましょう。
両立がプラスになるケース
中学受験をする子供は、みんな習い事をやめたほうがいいのかというと、そうとは限りません。
親が習い事をしている子どもの姿が好きで、子どもがそこで得られている人間的な成長こそ価値が大きいと考える場合もあります。
特にスポーツなどは、この傾向が顕著でしょう。
受験に専念するべきか両立するべきか悩んだ時は、その習い事で得られることと、2時間ほど勉強時間が増えることで生まれる成果を天秤にかけてみてください。
仲間の存在や人間的な心の豊かさがこれからも育っていくことを考えると、志望校を1ランク下げて両立させるという受験戦略もあるのです。
親が考えるべきこと
一方で親が受験と習い事を両立させたい理由として、
「何かを失いそうで嫌だから」
「今、持っているものを捨てたくないから」
など、失うものを基準にした損得勘定で考える親御さんがいらっしゃいます。
こういった場合には、「最優先は何ですか?」と聞きます。
すると、「どっちも」と答える方が少なからずいます。
この「どっちも」は、「どっちも必要ない」ということに等しいものであり、失いたくないから両方を無理に続けて、その結果両方中途半端な結果になってしまいがちです。
そんな人生でいいわけがありません。
親には、この問題を真正面から向き合って考えてもらう必要があるのです。
その上で、どうしても両立させたいと言われた場合には、成果を得るために何を犠牲にできるかを聞きます。
中学受験と習い事を両立するために必要なのは、主に時間と体力です。
朝方生活を徹底して睡眠時間を短縮する、食事の時間を短くする、テレビを見ない、ゲームをしないなど、何を選んで何を削るのかをハッキリさせることが重要です。
そして、それを徹底するためには、一日の過ごし方について家庭内できちんと話し合い、子ども自身にも生活に責任を持たせることが大切になります。
それができるのであれば、中学受験と習い事を両立して頑張ることもできるでしょう。
中学受験に習い事を活かせるの!?
習い事入試の内容とは
近頃、スポーツや芸術・音楽分野に優れた才能がある子供たちを入学させる、いわゆる『習い事入試(ポテンシャル入試)』を行う中学校が出てきています。
実はこれはすごく悩ましい部分で、いわゆる人気校では、そういった受験は採用していません。
結局のところ、合格ラインが高い難関学校は、そのような入試をしなくても、その学校にふさわしい子どもたちを選抜できる自信があるため行わないのです。
習い事入試を実施する学校には、子供をちょっと違う角度から見てあげたいという建前があります。
例えば、小学校6年生になってから急に中学受験したいと思い、受験校をピックアップしてみたものの、勉強で試験をパスするのは時間的にも現在の知識量的にも無理だとします。
そんな場合、漢字検定の何級を持っていたら試験にプラスされるなどという条件を設け、入学しやすくなっているというケースがあるようです。
また、附属小学校からの内部進学試験に限り漢字検定や英語検定の結果も考慮するという学校もあります。
ただ、そういった入試方法で生徒の選抜を行っている学校は数も多くなく歴史も積み重ねていないため、大学受験で成果をあげている学校は、まだ出てきていないと言えるでしょう。
最難関校では、こういった習い事入試のような制度は、今後も取り入れることはまずないだろうと考えています。
英語力の可能性
英語に関しては、今後入試科目のひとつの柱として考えられる可能性があります。
例えば、海外での生活経験があり、英語で考える力や読む力がある子供は、英語を使いこなせる能力を国語科目の一部分として評価する学校が増えるとも考えられます。
帰国子女入試は以前からありますが、国内で育ったとしても英語がよくでる子供であれば、通常のペーパーテストと合わせて英語試験の成績を加味される可能性もあります。
小学生の時点で、中学や高校レベルの英語力があるとわかれば、他の科目で不足していた点数分を補ってもらえる時代がくるかもしれません。