受験のプロが徹底解説!中学受験をするメリットデメリット
中学受験のメリットとデメリット
中学受験のために勉強をすることは、メリットとデメリットのどちらかだけではありません。
受験を目指すうえでプラスになることもあれば、何かがマイナスになる可能性もあると理解しておくことが大切です。
こんなはずじゃなかったと思ってしまう前に、事前に考えられるメリットデメリットをしっかり把握しておきましょう。
3つのメリット
①能力がアップする
受験勉強に取り組むということは、大量の知識を身につけるということです。
その知識を使いこなして考える力を伸ばすので、中学受験にしっかり取り組んだ子供は、精神的な成熟度や思考力、脳の力などがぐんと成長します。
子供自身が、自分の能力の底上げを図れるいい機会にもなるといえるでしょう。
②親離れ・子離れがスムーズ
たくさんの知識を得て、人間として精神的にも成長していくため、親離れがスムーズです。
親側は、子供の頑張りを目の当たりにしてその力を認めることで、子離れをしやすくなるのです。
③成功体感ができる
勉強は、やればやるほど力になります。
家柄や体格など、子供自身の力ではどうしようもない部分に左右されることは一切ありません。
それぞれのペースがあったとしても、勉強して知識を得たぶんだけ必ず結果が出て、点数という目に見える形で現れます。
「努力は報われるんだ」
という成功体験を学びやすいのです。
3つのデメリット
①子供との距離を間違えがち
子どもの頑張りを認めることが大切なんだと分かっていても、
「やっていないこと」
「できていないこと」
が目についてしまうもの。
やるべきことが終わらないまま時間が過ぎていくことに保護者が焦ってしまうあまり、ついつい子どもをなじってしまうことも珍しくありません。
子どもとの付き合い方や距離感を間違えてしまわないよう、注意が必要です。
②小手先だけの勉強になってしまいがち
理想の勉強法は、知識を身に着けて考え方を伸ばすことですが、やはり点数は気になるもの。
そのために、目先のテストで点数を上げるための、小手先の勉強ばかりを続けてしまう可能性があります。
無理やり丸暗記したり、宿題の答えを見て提出したり、わかっていないのにとりあえず当てはめて空欄を埋めたりといった本質的に意味のない勉強を続けてしまうと、時間だけ使って本人も勉強したつもりなのに伸びない子になってしまうという問題が起こりがちです。
③受験勉強以外が犠牲になりがち
小学校高学年にもなると、友達と遊ぶときに外遊びを通じていろいろな体験をしたり、自然に触れたり、音楽と関わって世界が広がったりとさまざまな体験学習のチャンスがあります。
しかし、中学入試のための勉強に時間と体力の多くを割くことになるので、これらのチャンスの多くを諦めなければいけません。
進学塾に通うメリットとデメリット
2つのメリット
①仲間と一緒にがんばれる
他の子供たちと同じ教室で一緒に勉強することになるので、辛くても互いに切磋琢磨して頑張れるという子どもがたくさんいます。
また、周りの友達に引っ張られるようにして、知らないうちに自分自身の限界を超えてえていくこともあります。
周りの仲間を見ることで、自分一人だけが大変なわけではないと認識でき、勉強の状態を客観的に見ることができるのです。
②カリキュラムが確実に進む
集団の塾の場合、各家庭や一人ひとりの子供を見ながら学習状況を丁寧にケアできるわけではありません。
そのため個人の習熟度を無視する形にはなりますが、結果として、予定していた時期までにしっかりとカリキュラムを完了させることができます。その上で、習熟度を測るテストを受けることで、全体の中での自分自身の理解度を把握できます。
言い換えれば、期日までに学習の目標地点にまで到達しないと、テストでまったく点数が取れなくなってしまうのです。
ですから甘えを断ち切ることで、目標までの力を身につけやすくなります。
2つのデメリット
①勉強法のミスマッチ
進学塾のメリットである強制力が、マイナスに働いてしまうこともあります。
子ども自身が伸ばしていくべき勉強や今やっておくべき単元の学習、家庭の事情に応じた学習方法の選択などが自由にできるわけではないので、塾の勉強と進度が合わず、ただただ宿題をこなすだけになってしまう場合もあります。
②小学生らしい生活ができない
塾の始業時間は、当然小学校が終わってからになります。
そのため、帰宅時間も考えると一週間のうち多くの曜日で夜遅くまで外に出ている状態になります。
その上、塾からの帰宅後は宿題など家庭学習の時間を確保する必要があるため、一般的な小学生の生活のリズムとはかけ離れてしまいます。
また、通塾手段によっては夜遅くに電車で移動する事にもなります。
安全面での考慮は必要不可欠ですね。
受験が必要な学校と公立の学校の違い
私立の中高一貫校に通うメリットとデメリット
中学受験は、通う学校を選べるところにも大きな価値があります。
「学校を選ぶ」
ということは、
「子どもをどんな環境で育ててあげたいかという生き方を選んでいる」
わけです。
人生選択の自己決定権が家庭にあるというのは、とても大きなメリットといえるでしょう。
ただ、受験が必要な私立校や中高一貫校などは、自分が住んでいる環境と違う場所にある学校に行くということを認識しなくてはいけません。
今まで暮らした環境や育ち方が違う子どもたちが集まるので、地域性や文化的な違いがあったり、考え方が違ったりすることで小学校までの学校での過ごし方とは異なり、子ども同士でぶつかり合ってしまうこともよくあります。
一方で進学塾という小学校とはちがう文化の中で切磋琢磨し中学受験を行うため、また、同じ塾からも多くの生徒が合格して進学するため、あまり違和感もなく学校生活をスタートできるお子さんも数多くいます。
家庭の文化や習慣に合わない校風の学校を選んでしまった場合には、せっかく頑張って入学しても学校生活が苦痛になってしまうといったことがありますので注意が必要ですね。
地域の公立校に通うメリットとデメリット
地域の公立校は、良くも悪くも大きな特徴がないため、一定方向に強制されて校風に染められるということはほぼありません。
子どもが自分らしく、自由に学ぶことも充分に可能です。
しかし、地域性が色濃く反映する一面もあるので、学力の向上にあまり意欲のない地域の学校であれば、向学心は育ちにくくなります。高校受験に向けた学習を行う上でデメリットとなることもあるようですから、塾の併用などいろんな手段を持って学習を行いたいところです。
また、公立高校受験では内申制度が大きく影響します。
クラス担任などの特定の先生によって我が子の努力に点数が付けられ評価されるわけですが、場合によっては不当な評価を受けたと感じることもあるようです。
公立高校受験と私立高校受験の双方を見て、3年間の学習の方針をしっかりと考えておきたいところです。