高学年で「失速」しない勉強法
4年生までは「丸覚え」の時間がある
4年生くらいまでは成績が良かったのに、高学年で急に成績が下がるお子さんがいます。
5年生で急にサボり始めたわけでもなく、むしろ高学年ということでそれまでよりがんばっているくらいです。
親としては、何が起こっているのか、どうすればいいのかわからず、慌てて勉強量を増やしたりしてしまいがちですね。
高学年で急に成績が下がるお子さんは、実は低学年から真面目にやってきたお子さんが多いのです。
親子とも真面目、というケースがほとんどです。
真面目な親御さんほど、来週のテストでしっかり点が取れるようお子さんに繰り返し宿題をさせたり、漢字や計算、理科の暗記などを何度もさせたりしがちです。
確かに計算などは何度か反復することで手順がしっかり身につく、といった性質がありますが、ものの名前を覚えたり漢字を覚えるときは、「丸覚え」ばかりにならないように気をつけなければなりません。
4年生くらいまでは時間があるので、丸覚え暗記に時間と労力をかける余裕があります。
でもそのままそれを続けてしまうと、高学年になって授業日数や授業時間、宿題などが増えたときに「まわらなくなる」可能性が高いのです。
「なぜ」を、考える習慣を
算数では、つるかめ算を面積図解法を使って解くことができます。
このことは多くの受験生が知っていて、実際に使っているでしょう。
しかし、つるかめ算だから何でも面積図が解きやすいかというとそんなことはありません。
このように、「◯◯算=□□解法」のように丸覚えしてしまっていると、ちょっと目先を変えられたような問題で、とたんに解法がわからなくなってしまうのです。
「2つのものが混ざっているから難しいのであって、それをすべて1つに置き換えると単純になる」というのがつるかめ算の考え方の基本です。
その上で、ツルの数をよこの辺、ツル1匹の足の数をたての辺とおくと、面積が全体の足の数を表すと考えることができる、という考え方を用いているわけです。
そもそも「つるかめ算だから解き方は面積図」ではないわけです。
このような「解法丸覚え」に陥らないためには、いつも「なぜ」ということを考えながら問題を解く必要があります。
でも、ともすれば日常の大量の学習の中で、「たくさん解くことありき」になっていると、ついついこの「自問」をしなくなってしまいます。
そこでお父さん、お母さんが「どうしてその解き方になるの?」とときどき尋ねてあげてほしいのです。
学年が変わったら勉強法を変えよう
学年がかわると、同じ単元でも習う内容は難しくなります。
たとえば算数の「場合の数」などで、4年生のときはたくさん書き出して、数えて解いても間に合っていたものが、そんなことをしていてはこなしきれなくなってくるのです。
これは、以前習ったことから規則性や決まりを見つけ出し、工夫して手際よく解きなさい、ということを示しています。
このように「以前習ったことを発展させ、より高度な問題を速く、正確に解く」というのが高学年の勉強です。
4年生のときにしっかり書き出し、正しく数えるという経験をした子は、高学年になって計算を多用するようになっても、正答率が落ちません。
これは、自分の中に決まった「数え方」があり、計算していても「その計算の意味」をしっかり理解できているからです。
これに対して、「式のレベル」で解法を覚えているだけでは、いったいどうしてこの計算をしているのか、具体的に理解できていないため、結果にばらつきが出るのです。
前の学年で習ったことをしっかり身に着けているという前提で、さらにそれらを発展させて繰り返すのが、大手進学塾の「スパイラル方式」のカリキュラムです。
今習った単元を再度学習するときに、前回のレベルのものをどれくらい「おさらい」してくれるかは、塾によって様々です。
高学年になったら復習のための時間もなかなか取れません。
たとえば大きなテストが返ってきたときに、すこし直しを詳しく、丁寧にやることで復習の機会にするなど、日々のルーティンの中に復習が織り込まれていれば、高学年になって忙しくなっても、「失速」することはないものです。
お通いの塾のカリキュラムをしっかり研究し、どのような復習・繰り返しサイクルを構築するかが大切ですね。
⇒「高学年の勉強法」について、優先順位や大きなテストの活用法、苦手単元に関してお話ししている記事はこちらをご覧ください。