理科、社会の暗記の後回しが危険な理由
「理科や社会は暗記科目だから、6年生になってから気合を入れてやろう!」
というお話を毎年耳にします。
ですが、実は理科や社会を後回しにすると様々な場面で困ったことがおきます。
理科や社会をどうやって学べば良いのかをまとめてみました。
カリキュラムを見れば、危険なポイントが明確に
中学受験をすると決めて塾に通い始める学年で、もっとも多いのは4年生、5年生です。
4年生の2月に入塾したとしたら、受験まで丸3年。5年生の入塾だと2年あります。
十分に時間があるように感じると思うのですが、まずはじめに6年生までのカリキュラムを注意深く見ておく必要があります。
たとえばサピックスの4年生の理科カリキュラムを第1回から5回まで見ていくと、次のようになっています。
- 1. ふれずにはたらく力
- 2. スイッチを入れると?
- 3. スイッチのある磁石!?
- 4. 雑木林を探検しよう
- 5. 田んぼの生き物1
次は、同じ第1回から第5回の、5年生のものです。
- 1. 酸素と二酸化炭素
- 2. ものの燃え方(1)
- 3. ものの燃え方(2)
- 4. 植物(1)
- 5. 植物(2)
4年生の単元名は身の回りの具体的でイメージしやすい単元名なのに、5年生になると手にとったり見たりできない単元名や、ざっくりとした抽象的なものになることがわかると思います。
言い換えれば、4年生の学習には「流れ」や「ストーリー」があるということです。
雑木林を春先に歩けば、どんなことがあるでしょうか。
落葉広葉樹の林では、冬に葉が落ちて地面は枯れ葉で覆われています。
葉を落とした林は意外にも日当たりがよく、さっそくカタクリの花などが咲いているかもしれません。
昨年の秋に積もった枯れ葉でできた腐葉土の中には、カブトムシやクワガタの幼虫が、成虫になる夏を待ち焦がれています。
もう少し暖かくなり、水田に水がはられるようになると、おたまじゃくしやカブトエビの姿も見られるでしょう。
このように、テキストを読むだけでも楽しく、詳しく習えばもっと興味を喚起される、そんなつくりになっているのです。
これが5年生になると「各論」になります。
植物なら「葉のつくり」「花のつくり」といった単元わけです。
このように、4年生の理科のカリキュラムは、受験に必要な学習の土台を作ることができる作りになっているわけです。
ですから、4年生で興味を十分に持てていなかったり、5年生からの入塾では、あまり面白味を感じることができない場合があります。
暗記は計画的に
もしお子さんが今5年生、6年生で、理科や社会の暗記が苦手、好きではないのであれば、面白みを感じ、興味が持てる勉強法を身につけられていないのかもしれません。
たとえば社会の歴史の語句を1つ覚えるのでも、それを何度も呪文のように唱えて覚えるのと、同時代の他のことがらと関連付けて覚えているのでは、知識の深まり具合も、科目への興味も全然異なります。
ですからできるだけ早期に「より楽しく覚えられて、忘れにくい自分なりの暗記法」を身につけておく必要があります。
塾などで「理科社会の暗記は、入試直前の詰め込みでもなんとかなります」といったことを言われることがあるかもしれませんが、実際は入試直前は過去問演習などでいちばん「時間が惜しい」時期です。
早め早めに計画立てて、お子さんの知識の血となり肉となる理解を伴った暗記をしておくにこしたことはありません。
6年後半は、まとまって覚えなおす時間はない
塾によって若干の違いはありますが、学年が上がるにつれて授業は「演習型」になっていきます。つまり先生に教えてもらう時間よりも、問題を演習する時間のほうが長くなっていくのです。
インプット型の学習から、アウトプット型の学習に変化していくと言ってもいいでしょう。
そんな中、暗記分野に大きな「穴」があると、それを埋める時間を捻出するのが大変です。
「問題を演習する」⇒「知識の抜けを周辺知識まで含めて行う」
というサイクルをこまめにできるよう、土台となるの基本事項はだいたい頭に入っている、という状態でないと、入試問題を中心とした演習型の授業の効果を最大限に活かすことが難しいのです。
6年生前半、ゴールデンウィークから夏期講習までには、暗記の総仕上げがいったん出来上がっているというのが理想的な状態ですね。
まとめると、
- 理科、社会の学習は、可能であれば4年生からしっかりと
- 暗記を後で固めて一気に行うことはほぼ不可能
- 単なる暗記にならないように、回りの事柄も一緒に理解できるような覚え方を身につけよう
- 6年生後半の演習型授業を効果的に進めるために、暗記事項は夏までにひと通りやっておこう
ということですね。
理科や社会は得意科目になると算数や国語をフォローできうる科目でもあります。
早い時期から
「理科がおもしろい!」
「社会って楽しい!」
となるように取り組んでみましょう!