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【中学受験】短期記憶力を伸ばして、学力を上げる親子の会話とは?

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公開: 最終更新日:2021年07月13日

学習において「短期記憶」は必要不可欠です。
短期記憶は訓練すればすぐに良くなる、という結果の見えやすいものではありませんので、小学生のうちから早めに鍛え始めたいですね。
ここでは、短期記憶力を普段の親子の会話で伸ばす方法を考えてみたいと思います。

ほめられることで子どもの記憶力は上がる

本来、人は新しい知識を得たときに喜びや快感を覚えるものです。
初めて字を読んだり、書いたりしたとき、幼い子ども自身も喜びでいっぱいだったでしょう。
さらに親がほめてくれたからもっとやってみよう、とがんばって文字を覚えた子どもも多いのではないでしょうか。
そのように親が子どもを一生懸命ほめたり、いっしょになって喜んだ経験は子どものその後の記憶に影響してくるものです。

そのときのような感動を再び親子で味わうために、たまに算数の問題をいっしょに解いてみるのもいいでしょう。
親が正しい答えを出せなくても大丈夫です。
「難しいね」といっしょに悩むのも大切です。

子どもが頑張って自力で答えを出せたら、親は思い切りほめてあげてください。
「なるほどね、そうやって解けばいいんだね。今日は〇〇くんのおかげで賢くなれたな」と感動したところを子どもに見せてあげてください。
子どもの顔が笑顔になったら記憶機能がフル稼動しています。
叱られたときの記憶はなかなか定着しない、という研究結果もあります。
ぜひ親は叱るよりもほめることを優先し、学力アップにつなげたいですね。

親の共感で短期記憶力が上がる

「なるほど、そういうことか」と納得したとき、記憶は定着しやすくなります。
そしてなによりも物ごとに対する理解度が増します。
最近の子どもたちは、この納得感を大切にしないで、詰め込むばかりの学習法を取っている傾向にあります。
膨大な量の問題を短時間に解いていく「こなし学習」になっているのです。
それでは一時的に点数が取れたとしても、本当の意味での理解にはつながっていません。

塾や学校などでも、先生の説明が終わる前に答えを出してくる子どもがいますが、即答できるから能力が高いとは言い切れません。
説明に対し「なるほど」と納得するには、少しの間が必要なのです。

日頃から親子で会話をするとき、「それってどういうこと?」「どうしてそうなるのか教えて」など子どもが説明をする機会を作り、それに対して「なるほどね」と共感してあげましょう。
子どもは人に説明することでさらに理解度も深まります。
その理解が記憶力につながるのです。

買い物での計算で短期記憶を伸ばす

短期記憶では耳から入れた音声を記憶に留まらせておくことが大切です。
たとえば28×6を暗算で解く場合、最初の8×6=48という数字を出したところで繰り上がる「4」を覚えておかなければいけません。
それと同時にもとの数字を思い出す必要もあるのです。

もとの数字が「28」だったことを思い出し、さらに2×6=12と計算して再び繰り上がる数字を思い出します。
その結果「1、6、8」だから「168」とさまざまな数を行き来して答えを出していくのですが、このような計算をスムーズに解いていくには短期記憶が必要になります。

そこで親子で行く買い物などのときに「2桁×1桁」の実践をしてみましょう。
買い物しながら「1袋88円のニンジンを2袋買ったらいくらになる?」と問題を出してみてください。
1桁目の「8×2=16」と言ったところで「ひと袋はいくらだったかな?」と聞けば、もとの数字をしっかり記憶する練習ができます。

正しい言葉づかいで論理的な表現を伸ばす

脳で一時的に短期記憶が保管される海馬は使うほどにふくらみ、使わなければしぼんでいきます。
いわば筋肉と同じようなもので、海馬を使ってどんどんトレーニングすれば容量も増え、記憶力も自然に高まっていきます。

海馬を鍛える方法は計算問題を沢山やったり、読書をしたりするだけではありません。
家庭内での日常生活にあります。それは、豊かな表現にふれるということです。
正しい言葉づかい、筋の通った論理的な表現、このような会話を普段からすることがとても大切なのです。

文字で見ると難しく見えるかもしれませんが、家庭で普通に会話をすればいいのです。
しかしこの「普通」が最近ではなかなか難しいのかもしれません。

「っていうか、それでいいんじゃないの」など、否定形の接続詞で会話が始まり、助詞もなく、肯定の言葉につながる。
これは文法で見ると間違いだらけの言葉づかいです。
しかし、親がこのような言葉で子どもに話すケースがたくさんあります。

「やばい」という言葉で全ての感情表現を終わらせてしまう若者の風潮が、今では世代に関係なく浸透してしまったようです。

「そうね、それがいいんじゃないの」と親が模範となって正しい日本語を使う習慣を身につけたいですね。

言葉づかいと学力の関係

正しい言葉づかいと学力との関係は6年生の算数で現れやすくなります。
中学受験のための進学塾では5年生までは一般的にさまざまなパターンの問題を解き、そのパターンを覚えていきます。
そのパターンが身につくと、小問1題くらいはかんたんに解けます。

しかし6年生になると問題文が長くなり、いろいろな解法パターンを組み合わせて解く応用問題に発展するため、問題が急に難しくなったように感じます。

問題を解くためには何が求められ、何が今わかっていることなのか、を読み取る力が必要です。
しかし、つまづく子は算数を解く力はあっても問題文を読んで情報整理する力が足りないので、解くことができません。

論理的な表現に慣れていないためにせっかくの算数を解く力を発揮できないうえ、算数が苦手になってしまう子が多くいます。

このような論理的な表現を理解する力は教科に関係なく必要です。
そのためには普段からの言葉づかいと、正しい日本語が耳に入ってくる環境が大切になります。

話し言葉は書き言葉とは違い、推敲された文章ではないので、いきなり論理的な表現をしようとしても難しいかもしれませんが、正しい言い回しを意識することで、かなり改善されるでしょう。

普段からの親の声かけでほめたり、共感したりすることで子どもの短期記憶力は上がります。
さらに買い物などでいっしょに計算することで鍛えられるでしょう。
そのようなときも親が正しい言葉づかいで表現を伸ばし、学習でも役立てられるように日常から配慮したいですね。

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