【学年別】クラスダウンをしても、志望校合格を達成するご家庭が毎年7月に取り組んでいることとは?
中学受験情報局の西村則康です。
塾や学校が再開して、約1ヶ月が経過しようとしています。
お子さんは塾と学校のある生活に慣れてきましたか?
塾の再開に伴って、たくさんのご家庭から、中学受験に関するご相談の声をお寄せいただいております。
休校中にしっかり学習ができたご家庭と、残念ながら学習が思ったように進まなかったご家庭で大きく差が開いてしまったとは否定できません。
6月中に開催された組分けテストの結果はいかがでしたか。
休校中の学習が上手くいかなかったご家庭にとっては、周りとの学習成果の差を突きつけられる非常に苦しいテストだったと思います。
今回の組分けテストで、クラスダウンしてしまったご家庭からは、早くも「このまま中学受験を続けて大丈夫でしょうか?」という不安の声を頂いております。
驚いたことに、組分けテストの結果を受けて、休校中に抱えられていたお母さん・お父さんの不安が一気に爆発したようで、現在6年生のご家庭はもちろん、4年生・5年生のご家庭からも…
クラスダウンをきっかけに、どんどん成績が下がり続けるのでは…
という不安に押しつぶされそうになっているという声が、例年に増して届いております。
残念ながらクラスダウン自体にはデメリットしかなく、今後の成績ダウンの大きな要因になりえるのは事実です。
一方で、毎年6〜7月のクラスダウンをきっかけに、お子さんの成績が上がり、志望校をワンランクアップさせるお子さんが必ずいることはあまり知られていません。
このお手紙では、クラスダウンを成績UPのチャンスに変えているご家庭を参考に、9月〜10月のタイミングで元のクラスに戻り、成績を上げ、志望校合格を達成するために、今この7月からご家庭が取り組むべきことをまとめてみました。
成績を飛躍的にアップさせるために、6年生と5年生が7月中に取り組むべきことを個別にまとめておりますので、活用いただけますと嬉しく思います。
もくじ |
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1. クラスダウンのデメリットとは?
1.1クラスダウンのデメリット
まずはクラスダウンのデメリットについて改めて書いてみます。
クラスダウンのデメリットは大きく4つ。下記のとおりです。
- お子さん自身の学習に対するモチベーションが下がる
- 優秀な先生はより上位のクラスに配属されるため、講師のレベルが下がる
- 学習に対するモチベーションが低いお子さんの影響を受けやすい
- 授業中に「応用問題」などレベルの高い問題に取り組む時間の割合が減る
塾業界ではある種のタブーとされていますが、クラスが下がってしまうと、どうしても授業の質が下がってしまうのは否定できません。
これは単純な理由です。
塾は難関校を目指すクラスに、優秀な教師を割かなくてはなりません。
より多くの子の成績を上げるために、クラスに合わせた授業展開をしなくてはなりません。
その結果、下位のクラスでは…
- A.応用問題など難関校向けの問題に取り組む時間が少ない
- B.先生の指導力は基礎問題の一斉授業に向けたレベル
という授業が展開されます。
これを悲観的に見れば、「志望校への道が絶たれた」とお母さん・お父さんが思われるのも無理はないでしょう。
1.2クラスダウンしても成績を下げないご家庭のマインド
ですが、少し見方を変えてみると…
塾は下位のクラスの授業であっても、「基礎問題はしっかり教えてくれる」
とも言えます。
あまり知られていませんが、一度下位クラスに下がったとしても、下位クラスの授業を活かすことで、毎年成績をしっかり上げているご家庭も一定数います。
- 1. お子さんのモチベーションを下げない
- 2. 基礎が確実に解けるように心がけている
- 3. 宿題の取捨選択をし、適度に応用問題も勉強する時間を確保している
下位クラスでも成績を上げているご家庭の特徴
個別に簡単に説明していきます。
■ 特徴1. お子さんのモチベーションを下げない
何より大事なことは、お子さんの学習に対するモチベーションを下げないことです。
お母さん・お父さんのお気持ちは痛いほどわかりますが、既に終わってしまったクラスダウンについてお子さんを叱ったり、責めたり、プレッシャーをかけたりしてもプラスの効果を生むことはありません。
いち早く、次はもっと頑張ろうという気持ちに切り替えさせてあげることが大切です。
■ 特徴2. 基礎が確実に解けるように心がけている
下位クラスで扱っている基礎問題は、上位クラスでも扱っています。
なので、まずは塾で習っていることを確実に解けるようにしていきましょう。
具体的には、その日塾で扱った単元の類題をご家庭でお子さんに解いてもらいましょう。
とはいっても、授業のあった日に振り返りの学習を全部やりきるのは現実的ではありませんから、「塾から帰ってきて、その日に習った問題の中で最重要な数問はその日のうちに、その他の問題の復習は翌日の学習に回す」とよいでしょう。
引っかかるところがあれば、類題を確実に解けるように、親御様がサポートするか、信頼できる第3者(力量のある家庭教師か個別指導)を見つけてあげてください。
これができるだけでも成績に大きな違いが生まれてきます。
というのも…
お母さん・お父さんの中には、「上位クラスの子は全部の問題(10割中10割)が解ける」と思っている方も少なくないのですが、
最上位の子たちでさえ、できても8〜9割。
上位の子でも、7〜8割。
中位の子で、4〜6割。
私の経験上では、その程度と考えています。
一方で、実は下位クラスでも勉強できる基礎問題だけでも完璧にすれば、全体の5割程度は得点できるのです。
ですから大切なことは、下位クラスで扱う基本的な内容を、取りこぼすこと無く得点できるような学習を心がけることになります。
そのためには、塾からお子さんが帰って来るたびに、ご家庭でお子さんの学習の理解度をチェックしてあげることが大切になってきます。
既に個別指導や家庭教師をつけているご家庭であれば、この役割をその先生に頼むのも有効と言えるでしょう。
■ 特徴3. 宿題の取捨選択をし、適度に応用問題も勉強する時間を確保している
先の2つの特徴は、クラスダウンをしても成績を維持するために必要な方法とも言えます。
次回の組分けテストでクラスをアップするためには、もう1歩踏み込んだ努力がご家庭に求められます。
前述のように下がってしまったクラスに合わせることも大切ですが、上のクラスだけで学習していることに、ご家庭で取り組むことも大切です。
そのためには、ご家庭で塾の宿題を取捨選択し、節約できた時間を上のクラスで扱っている応用問題などの学習に使います。
特に今年の夏は、小学校の授業と塾の講習で、子供達が使える時間が極端に少なくなりますから、学習内容の取捨選択の上手・下手がその後の学力を決定的に左右することに注意が必要です。
応用問題の取捨選択は、遠慮なく塾の先生に聞くことから始めましょう。
ただし、「上のクラスでやっている問題は全部やらないとダメだ」という考えには陥らないように注意が必要です。
「特徴2」の基礎固めを優先し、余っている時間を応用問題に当てていくよう心がけるのが大切です。その際、どのレベルの問題をどれだけの量やらせるべきかは、慎重かつ勇気を持って決定していく必要があります。
ここまでをまとめますと、
クラスダウンをしても成績を上げるためには、下記のことが大切です。
- クラスダウンのデメリットが大きいのは否定できない。
- 何より大切なことはお子さんを責めず、モチベーションを維持すること
- 下がってしまったクラスで行われる基礎学習を、取捨選択しながら上手に利用する。
- 塾で扱ってくれない応用問題は、質量に細心の注意を払いながらも、必ず挑戦させる。
クラスダウンをしても成績を上げるためのポイント
というのがここまでの話でした。
そして何より今年は、コロナウィルスによる休校の影響で、例年より更に忙しい夏期講習が迫っています。
そんな過酷な夏期講習の中で、クラスアップを実現し志望校合格を狙うために、この7月からご家庭で取り組むべきことについて、下記に「学年別」にまとめました。
特に6年生は志望校合格に向けて確実に成績を上げていく必要があるため、特に詳しく書いておりますので、ぜひご活用いただけますと嬉しく思います。
2.【学年別】クラスダウンを乗り越えるポイントまとめ
四谷大塚・早稲アカ・浜学園では、7月のテストで夏期講習のクラスを挽回する方法がありますが、6月末のテスト結果を受け、既にSAPIX・日能研では夏期講習のクラスが確定しております。
そこで下記に、クラスダウンをしたまま夏期講習を迎えてしまったご家庭向けに、7月の今から取り組むことで夏期講習明けにクラスアップをする方法を学年別にまとめてみました。
2.1. クラスダウンを乗り越えるため、6年生がこの7月に取り組むべきこと
6年生は夏休みが明けると志望校模試が始まるため、このタイミングでのクラスダウンをどう乗り切るかが受験の成否をわけるといっても過言ではないでしょう。
一方で、今回クラスダウンをしたとしても、志望校合格を諦める必要は全くありません。具体的には下記のようなご家庭は9月〜10月までにクラスを戻して、現在の志望校を維持することも現実的であるといえます。
2.1.1. 6年生でお子さんのモチベーションが高いご家庭の場合
今回クラスダウンをしてしまったとしても…
・志望校合格までの偏差値が5〜10不足している
・塾の授業にはついていけて、課題もある程度こなせている
・学習習慣が身についている/お子さんが自発的に勉強する
・親子ともに前向きな気持ちを維持している
といったご家庭であれば、下記の対策を心がけることで十分志望校を射程圏内に入れていけるといえます。
- 今回のクラスダウンは大きなことではないとお子さんを励ます
- ご家庭で課題の取捨選択を行い、授業で扱う基礎を完璧にする
- 志望校に合わせた類題特訓の先取りを少しずつ始める
ここに来てのクラスダウンは確かに痛いですが、お母さん・お父さんが悲観的になってお子さんのモチベーションを下げてしまうのはもったいないといえるご家庭です。
塾で習ったことを確実にしていきながら、ご家庭主導で、志望校に合わせた勉強をする時間も確保していきましょう。
とはいっても、本命校の過去問を消化するのはまだ早いため、出題傾向の似ていて、しかも少し易しめの別の中学校の過去問を中心にして演習をしていくのがよいでしょう。
今年は夏休みに学習に割ける時間が少なくなっているため、上のクラスで扱っている応用問題の学習に、志望校の出題傾向に似た問題を選択して使っていくことで、効率よく勉強するという戦略が特に有効です。
ただし中学受験の過去問題集のなかには、解説が載っていなかったり、解説が簡潔すぎるものも多いので、ご家庭だけで勉強する場合は、注意が必要です。
個別指導の先生や家庭教師の先生がついているなら、彼らに志望校の類題を教材に使用してもらえるように相談してみるのが最善でしょう。
上記の通り、まだまだ志望校に間に合う圏内といえますが、もちろん油断は禁物です。
この7月〜8月の間に、しっかりと戦略を立てて学習をすすめることができなければ、志望校がグッと遠くなるのもまた事実です。
塾の先生以外で、個別指導や家庭教師の先生に夏のカリキュラムを立ててもらうだけでも大きく最終の結果が変わってくる正念場といえます。
とにかく時間を有効に使って、志望校に合わせながら、応用問題を学習していく態勢を整え始めることが大切です。
2.1.2. 6年生でお子さんのモチベーションが低いご家庭
続いて6年生でクラスダウンをしてしまって…
・お子さんの学習に対するモチベーションが著しく低い
・テストで正解できるのは基本問題だけ
・勉強方法が、とにかく演習問題を解き続ける方法になっている
・家庭学習ではついつい親が子どもを責めてしまいがち
といったご家庭では、志望校に合格するためには、7月中の早急な立て直しが必要です。
この様なご家庭では、お子さんが「この問題は、この解き方が使えるぞ」と、「解法と問題を紐付け、何故そうなるのかを理解している」というより、「ただ解き方を覚えてしまう」という学習をしてしまっているパターンが非常に多いです。
具体的にいうと、普段の塾の学習では、とりあえず今習った「解き方」をそこにある問題に当てはめれば問題が解けてしまうため、普段の勉強では、「理解できている」ように見えているのです。
ですが、いざテストになって、複数の単元から様々な問題が出題されると、目の前の問題に、どの解法を使えばいいのか思考が停止してしまい、応用問題はおろか、少しだけ変形された基礎問題ですら全く手が出なくなってしまうのです。
こういった根本的な学習の仕方が原因でテストの点数につながらず、クラスダウンを経験してしまっているご家庭は、すぐに学習の方法から見直す必要があります。
このようなご家庭では、「丸暗記型」の学習に慣れてしまっていることが多いため、最悪のケースでは、いくら学習量を増やしても、問題と答えを覚えるだけになってしまい、問題集を変えたり、テスト本番になると全く解けなくなってしまうというお子さんも少なくはありません。
5年生であれば、まだご家庭で取り組めることもあるのですが、6年生ということもあり、早急な学習の改善が必要ですので、塾以外の第三者、個別指導や家庭教師の先生に一度相談してみることを強くおすすめします。
7月〜8月の内に学習方法を見直すことができれば、これまで、とにかく多くの演習をこなしてきた体力や精神力があるため、逆転の目は見えてくるといえるでしょう。
2.2. クラスダウンを乗り越えるため、5年生がこの7月に取り組むべきこと
緊急性の観点から言えば6年生のクラスダウンの方が深刻ですが、今後のお子さんの成績を変えられるかのターニングポイントにいるという意味では、このタイミングでクラスダウンをした5年生の方が正念場と言えます。
このタイミングでクラスダウンをしたということは、今の学習方法では、今後成績が上がりにくい根本的な原因があると言えるでしょう。
上記の6年生が抱えている「根本的な学習の問題」でも書いた通り、「決められた1つの解法を当てはめて問題を解く」学習方法に陥っていないかを、注意深く確認しなければなりません。
普段の塾の授業では理解しているように見えるのに、テストになると点数がとれないという心当たりがあるご家庭は特に注意が必要です。
そういったご家庭のお子さんは、「解き方の本質」を理解しているのではなく、「この単元で習ったことには、このやり方を使えばいい」と、「ただ暗記している」だけのパターンが多く、問題集を変えたり、テストになると、全く解けなかったり、いつもより多くの時間がかかってしまう傾向があります。
今年の夏は特に忙しい上に、クラスが変わってしまい、塾の先生が出す課題をこなすことに精一杯になるでしょう。
・・・・全くつかないまま、良くない勉強方法だけが・・・・
具体的な対策方法としては、ご家庭でお子さんが取り組むべき課題を取捨選択して、お子さんが問題を消化することではなく、目の前の問題が、どうしてその答えになるのか?考える時間を十分にとってあげることを意識してください。
お子さんが理解できているかどうか確かめるには、「どうしてそうなったのか、お母さんにも教えてくれる?」と聞いてみるのが効果的です。
そして、しっかりと説明ができたときには、思いっきり褒めて上げてください。
塾の教材だけで、問題をしっかりと理解させてあげることが難しい場合は、書店で「解説がわかりやすい問題集」を買って、お子さんと一緒に取り組むことも有効です。
「解説がわかりやすい問題集」の特徴としては、問題文と解説文の割合が1:1くらいのしっかりと解説が書かれているものがオススメです。
お母さん・お父さんが読んで理解できる解説が書かれている問題集があれば、お子さんの理解を促す学習をご家庭でも容易に行うことができます。
まだ時間はありますから、無理に詰め込むのではなく、今回のクラスダウンを前向きに受け止め、学習の質を見直す機会と捉えていきましょう。
2.3. クラスダウンを乗り越えるため、4年生がこの7月に取り組むべきこと
4年生については、現段階でクラスダウンをそこまで深刻に捉える必要はありません。
どちらかといえば、クラスダウンを深刻に捉えすぎて、お子さんにプレッシャーをかけすぎないことが最も重要です。
そして、これまでの学習の欠点を修正する良い機会だと捉え、学習の量や質、そして勉強のやり方を見直すことをお勧めします。
たとえば、丸暗記学習に陥っているなら、早急な対策が必要です。その場合は、少し長めの期間で行うスパイラル(繰り返し)な学習をやらせながら、「どうして、その答えを導き出したのか?」をお母さん・お父さんに説明してもらう機会を増やしていくとよりよいでしょう。
その際の台詞を、「どうしてそうなったのか説明しなさい!」から、「どうしてそうなったのか教えてくれる?」に変えることで効果は倍増します。
また、無理に応用問題等に取り組む時間を確保するよりは、基礎問題をしっかりと理解できているかに時間を集中させてあげてください。
十分な理解ができていることがわかり、時間に余裕があるなら、応用問題にも取り組んでいきましょう。
合わせて5年生の学習方法で説明している、「解法と問題を紐付け、何故そうなるのかを理解している」学習方法を意識し始めるとより良いです。
いかがでしたでしょうか。
例年より更に忙しくなる夏期講習ですが、下位クラスでも成績を上げていくために必要なポイントをまとめてみました。
クラスダウンを成績アップのチャンスに変えるポイントは、ここまでをまとめますと…
- クラスダウンは済んだこと。お子さんのモチベーションを上げることに徹する。
- 下位クラスでも基礎の勉強はできる。
- お子さんに必要な宿題を取捨選択してご家庭主導で時間を作り出す。
- 上のクラスが扱う応用問題にもチャレンジしてみる。
- 余裕がある6年生のご家庭は、志望校の類題の挑戦も始める。
- クラスダウンの原因が「詰込・丸暗記型の学習」でないかチェックする。
- 塾ではなく、ご家庭主導で「理解」を促す学習に切り替えていく。
- 理解の確認は「どうして、そうなったのかママにも教えてくれる?」が有効。
- このまま夏を過ごすと6年生は志望校が一気に遠くなるターニングポイント。
- このまま夏を過ごすと5年生は丸暗記型学習の悪循環に陥る可能性が高い。
>クラスダウンを成績アップのチャンスに変えるポイント
クラスダウンはデメリットもありますが、学習が上手く行っていない根本的な原因を見直す良い機会にもなりえます。
一番してはいけないことは、今の学習方法を省みず、ただ課題量を増やすということです。
ご家庭で学習の本質を見直すことが難しければ、塾の先生や個別指導・家庭教師の先生に相談することも有効です。
クラスダウンはお母さん・お父さんにとっても不安は大きいと思いますが、ピンチをチャンスに変えることを意識して、お子さんとともに成績を上げる機会に変えていきましょう。
ぜひこの記事の内容を有効活用していただけると嬉しく思います。
ご家庭の中学受験が成功することを祈って。