料理や買い物を中学受験に活かす 子どもにとって経験と知恵の宝庫である理由とは
料理のお手伝いをしたり、買い物に一緒に行くことで、子どもがさまざまな知識を手にしていきます。
今回の記事では、日常生活のなかにも、子どもの成長に役立つことがたくさんあるということについて考えてみたいと思います。
キッチンで子どもの好奇心を伸ばす
ぜひ、子どもと一緒に食事を支度する機会を持つようにしてください。
週末など、時間に余裕があるときだけでもかまいません。
野菜や肉、魚などの実際に手触りや色、匂いなどに触れることで、子どもはさまざまなことを自然に学びます。
3、4歳の子どもなら、ちゃんととなりで大人が教えたら包丁で野菜を切れるようになります。
包丁を持たせるのがこわいなら、野菜を一緒に洗ったり、サラダにするためにレタスをちぎったりすることでもかまいません。
魚や肉もぜひ触れてほしい食材です。魚をさばくのを見ていれば、自然に魚の体内の構造も覚えるでしょう。
肉を焼くのを見たら、温度を上げると溶けるものと固まるものがあることもわかるでしょう。
野菜を洗えば水に浮くものと沈むものがあるということがわかるし、野菜を切るのを見るだけで、その断面にどのように種が入っているかを知ることもできます。
これらは生活体験であると同時に、近い将来、理科で習うことです。キッチンでこうした身体感覚が身についているかどうかは、大きな差になります。
時間の感覚を体で覚える
時間の感覚も、キッチンで身につくことのひとつです。
卵を何分茹でたらよいのかなど、時間を体で理解するチャンスでもあります。
時計の読み方も、教科書に書いてある絵で覚えるより、お母さんと一緒にキッチンで料理をしながら覚えたほうがずっと身につくのではないでしょうか。
そのためにも、リビングやキッチンの時計は、長針、短針、秒針のついたアナログ式のものがいいと思います。
キッチンタイマーも子どもに見やすいものにしたり、調理用のはかりもアナログ式にするといいかもしれませんね。
買い物をしながら、地理を楽しむ
買い物も、子どもにとってはさまざまなことを知る絶好の機会です。
忙しい時間の買い物に子どもを連れていくのはちょっと…と尻込みする方もいるかもしれません。
でも、毎回ではなくてもいいのです。ときどき、余裕があるときだけでかまわないので「今日は何を作ろうか」と相談して、スーパーで材料を一緒に考え、子どもに商品を選ばせてみてもいいでしょう。
そのときに、商品の産地に注意を向けさせてみてください。
「この魚は鹿児島県の海でとれたんだって」「アボカドはメキシコ産なのね」「ぶどうは山梨県でとれたものが多いね」といった感じでよいのです。
その場で、その土地の場所や背景などを説明する必要はありません。
「遠くから届いた」くらいのことがわかるだけでいいでしょう。
もし、子どもが「メキシコってどこにあるの?」と興味を示したら、帰ってから一緒に地図を見て教えてあげたらいいですね。
買い物などの身近な経験があるからこそ、「国」「県」などの名前に親しみを持てるようになります。
将来、社会科で「ぶどうの生産量が一番多いのは山梨県」と言葉で習うより、ずっと自然な知識が身につきます。
レジでのお金のやりとりも貴重な体験
買い物でのお金のやりとりも、学びにつながります。
「十円玉が10枚で100円」「百円玉で60円の買い物をすると、お釣りが10円玉で4枚」などを自然に学ばせましょう。「十円玉が10枚と百円玉1枚は同じ」ということを知ることは、のちに学ぶ10進法の基礎になります。
子どもの成長に応じて、お使いに行かせるのもいいでしょう。
お店の人との会話、お金のやりとりなどを子どもに任せるのです。
子どもにとっては大きな冒険となり、また貴重な経験になるでしょう。
こういった経験が小学校高学年以上の学校生活の基盤になり、実は中学受験の勉強にもいい影響を与えるのです。
親子ともにたっぷり時間がある幼児期から小学校低学年のうちに、たくさんの経験を積み重ねておきたいですね。