中学受験にも学校の勉強にも使える 家庭学習で国語の底力を鍛えるコツ
家庭学習の中でも、どう進めていいのか特に困ってしまう教科が国語なのではないでしょうか。
日々成長していく中で自然と身に着けてきた言語のため、いざ学習となると、何をどう学べばよいのか分からない。
親御さんとしても、どう教えてよいのか困惑することと思います。
家庭学習で国語力を高めるためのコツについて、説明いたします。
遊びの中で国語力を鍛える
家庭学習において大切なのは、遊びから学ぶということです。
そのためにも、さまざまな遊びをするようにしてください。朝から晩まで1つのゲームを延々やるというのでは、いけません。
テレビゲームをすること自体が悪いということではありません。しかし、小学生なら30分で止める練習をしましょう。
テレビゲームを30分したら、次はボートゲームで遊ぶとか、トランプで遊ぶとか。遊びの種類をいくつか使い分けながら、刺激を与えるようにしてください。
というのも、遊ぶ時が、一番頭を使うからです。
家族で遊ぶとき、そこで会話をしますね。
その言葉が、国語の力を育んでいく礎となります。
国語というのは、突き詰めていくと、言葉をたくさん知っている者勝ちなのです。
なので、遊びの時間もフルに使って、できるだけ多くの言葉に触れる。
いろんな言葉を話して、聞いてもらって、そして、たまには書いてみる。
言葉を使う機会をいかに増やすか。これこそが、暮らしの中での国語学習だと考えてください。
ドリルや問題集での勉強もいいですが、話すということ自体が、実はもう国語なのです。
「遊びながら国語学習」のネタ元になる本
供と遊んであげるといっても、なかなか遊びのネタが思いつかないかもしれません。
そんなときに便利なのが『1日3分! 頭がよくなる子どもとの遊びかた』という本です。
http://www.daiwashobo.co.jp/book/
特別な道具がなくても子どもと一緒に遊べるような遊びの事例を多数紹介しています。
このようなネタ本を使って、仕事から帰った後や週末に、親子のコミュニケーションの時間をとっていただければと思います。
また、『頭がよくなる 謎解き 国語ドリル』という本もおすすめです。
https://www.e-juken.jp/product/
さまざまな言葉の知識を散りばめてあり、言葉を学ぶとともに雑学も身に付きます。
「ドリル」という名前が付いていますが、これをただやらせるのではなく、クイズの元ネタに使ってみてください。
朝、「今日、いくつか新しい知識が入ったら、帰った後で教えてね」と子どもに声をかけておき、帰宅後、お子さんにクイズを出してもらう。
このようにして、語彙を身に付けながらコミュニケーションを広げていってほしいと思います。
自宅学習での漢字力の鍛え方
漢字の学習といえば、ひたすら書いて暗記するものだと思い込んでいる人も多いでしょう。
しかし、漢字を根本から理解することで、単なる暗記だけでなく、応用の利く語彙力として身に着けることができるようになります。
漢字の成り立ちから捉える
漢字の一番大きな特徴とは、1文字1文字に意味があることです。
小学校1年生2年生で習う漢字には、「山」や「川」など、象形文字と呼ばれる文字が多く出てきます。「山」は、山の形を模してできた漢字であり、「川」は水の流れを形にて生まれた漢字です。
象形文字の次に学ぶ漢字は、抽象的な者を表す指事文字です。たとえば、水平線より上に点を振ったところからできた「上」という漢字。
このようにして、分かりやすい象形文字から、徐々に組み立てて作られた漢字を学んでいくようになります。
さらに、4年生、5年生に進むと、今度は形声文字という漢字が主流になります
これは、音を表わす部分と意味を表わす部分によって構成されるもので、漢字の中で最も多い成り立ち方をしています。この形声文字で、部首についても勉強することになります。
部首と意味
漢字の部首は、その一つ一つにきちんと意味を持っています。
小学校の授業でも、そのことは習っています。しかし、習ってはいるはずだけれど、ただの知識として部首を丸暗記してしまう子が非常に多く、また、テストで正答できることを目的に勉強をさせる大人も多いのが実情です。
漢字を学ぶ時には、部首それぞれの意味を意識してください。
例えば、「おおざと」という部首があります。「都」や「部」という漢字の右側、「つくり」の部分。この「おおざと」が表す意味は、「人が集まる場所」です。
人が集まる場所だから「都」であり、人が集まる場所だから部屋の「部」なのです。「故郷」の「郷」という漢字も「おおざと」が部首になっています。
人が集まっているからですね。
これと同じ形でも、漢字左側の偏(へん)に行くと「こざと偏」と呼ばれるようになります。
こざと偏になると、全く意味が違ってくるので注意です。こざと偏は、「盛り上がった土」という意味になります。
盛り上がった土だから、そこをトコトコ歩くと転んじゃいますよ、ということで、危険の「険」という漢字になるわけです。
このように、編もつくりも、それぞれ意味を持っています。それを知っていれば、新しい漢字を学ぶときも、その漢字の持つ意味や情景がすんなり入ってくるのです。
丸暗記ではない漢字学習
漢字を学習するときには、丸暗記ではなく、「この部分はどんな意味なんだろう?」と、漢字辞典を確認しながら、じっくり学んでいただければと思います。
漢字学習のドリルや参考書には、漢字の成り立ちやその漢字を構成するパーツの説明などが載っています。
つい、問題を埋めることにばかり気がいってしまうでしょうが、実は、大事なのは説明のところです。
漢字一文字の成り立ちを丁寧に勉強する姿勢を持った子は、学習が進んで熟語に入った時も、「これは組み合わせだな」ということに自分で気づくことができます。
初めて見た熟語であっても、「この漢字とこの漢字なら、だいたいこんな意味だろう」と、知らない言葉の意味が分かるのです。
しかし、漢字を丸暗記で勉強している子にとって、見たことない言葉は知らない言葉でしかありません。これでは、なかなか新しい言葉が入ってこなくて当然です。
漢字の学習を正しくできているか、形だけの勉強になっているかによって、それ以外の分野の言葉の取り入れ方にも、差ができます。
言葉の取り入れ方に差があれば、当然、言葉の塊である文章を読むときにも、入り方が変わってきます。
漢字を丁寧に学んでおけば、その先の広がり方が、ずいぶん違ってくるのです。
文章の学習について
まずは教科書から
ご家庭での文章の学習については、まず、学校の教科書を読んでください。
家で学校の教科書を読む習慣がある子は、ほとんどいないと思います。
親御さんも、正直なところ、小学校の教科書を大事にしている方というのは、あまりいらっしゃらないのではないでしょうか。
ところが、実は教科書というのは、文章の長さもジャンルもよく考えられており、読みものとして、非常にレベルの高い文章が揃っているのです。
しかも、下の欄に言葉の意味などが掲載されているため、ストレスなく読み進めることができます。
なので、まずは教科書から文章に触れることをおすすめします。
次に短時間学習でリズムを作る
さらに学習を深めたいなら、1日に少しずつ、低学年の子だったら10分程度でいいので、ドリル学習などをするとよいでしょう。
国語が得意になりたいからと、1時間も2時間も頑張らせるお宅もあると思いますが、文章に触れるのは、10分で構いません。そのかわり、できるだけ毎日触れるようにしてください。
毎日会話をする、毎日文章を読む、自分なりに喋ってみる、ちょっと書いてみる、漢字を丁寧に調べてみる。
1日に10分から30分くらいの学習でいいので、とにかく継続することです。
毎日続けることで、お子さんの言葉に対する感覚が磨かれていきます。
短時間でもいいので、日々文章に触れるリズムを崩さないようにだけしておきましょう。
学習ドリルの効果的な使い方
日々の学習リズムを作るのに、ドリルが便利です。
ドリルをやる時のポイントは、正解するかどうかを重視しすぎないこと。
国語の設問というのは、その素材文をより丁寧に読むためにあります。
「どういうふうに読めばいいのかな」「ここで主人公の気持ちを考えるんだな」「ここで場面が変わることに、どんな意味があるのだろ」と、文章を読むためのコツを、設問が教えてくれているのです。
ですから、問題が解けなくても構いません。もし、お子さんが勉強に困っていたら、「どんな問題だった?こういうふうに聞かれるのね。答えにはなんて書いてあるの?」と一緒に見てください。そして、「なるほどね。この前のところをもう一回読めばいいってことみたいよ」と解説を開きながら、文章の読み進め方のヒントを出してあげてください。
ここで学ぶべきことは、正解を出すことではなく、文章の読み方です。
正解か不正解かは、重要ではありません。大事なのは、解説を使って学ぶということです。
参考書、問題集などは解説こそが大切ですので、そこを意識して、上手に使ってください。