コロナ休校であらためて見直したい家庭学習のありかた
コロナウイルスの流行によって突然始まった一斉休校。かつてない事態に、子どもも大人も大変な混乱を強いられています。
学校に行くことができず、緊急事態宣言により塾での授業も中止が続く中、どのようにして家庭で学習させればよいのでしょうか。
休校中、遊びと学習の場を失った子どもたち
コロナウイルスの流行による小学校の休校。
なんだか時期外れの夏休みが始まったような気持ちでいるかもしれませんが、いつもの夏休みとは大きな違いがあります。
通常の夏休みであれば、外に出て思い切り遊ぶことができます。
しかし、今回の休校ではどうでしょう。外で遊ばせるわけにいきません。
近所の公園に行っても、子どもたちの姿は見られず、ガラーンとしています。
当然、子どもたちは、外に出たくてしょうがない。エネルギーを持て余しています。
仕方なく家の中でドタバタしているわけですが、本当だったら外で思い切り走り回りたいのです。
それだけでなく、小学校が休校のため、学習の場もありません。遊びの場も学習の場もない中で、家の中にいることしかできない。
子どもたちは、大きなストレスを抱えています。
家にいてできることといえば、テレビを見るか、ゲームをするか、勉強をするかくらい。
親としては、テレビとゲームは控えて、勉強をしてほしいところでしょうけれど、その通りに行動できる子どもというのは、まずいません。
コロナ休校は、夏休みや冬休みのようないつもの長期休暇とは違います。子どもにとって、遊びの場も学習の場もないという前提に立って考えることが大切です。
「この休校期間中に、理想的な学習をさせよう」などと意気込んでも、失敗します。
そうではなく、「今よりちょっとでも良くなればいい」「うちの子がちょっとでも自立していければいい」その「ちょっとだけ」を目標にすることで、休校の期間を上手に過ごすことができるはずです。
コロナ休校中の家庭学習の組み立て方
親というのはどうしても、子どもの上手に出来ないところばかりに目が向いてしまいます。
「うちの子は分数計算が苦手だ」「漢字も苦手だ」と苦手ばかりが目につくのです。そして、「せっかくの休みだから、この機会に苦手なものを全部やらせよう」としてしまう。残念ながら、これではうまくいきません。
休校中の家庭学習プランを立てるときには、まず子どもの得意なことと苦手なことに分けておき、得意なことを多めに、苦手なことを少なめに配分することが大切です。だいたい7対3ぐらいの割合がよいでしょう。
子どもは得意なことや好きなことをやりつつ、ちょっとは嫌な苦手なこともやる。このペースであれば、きちんと取り組むことができます。
子どもが得意で進んでできる勉強を中心に考え、そこに味付けとしてちょっと苦手な分野をつけ加える。このような工夫が必要です。
コロナ休校中の学習計画の立て方
今、書店では問題集がかなり売れています。特に漢字や計算の問題集が店頭から消えていると聞いています。
学習の基本にあるのは、昔で言うところの「読み・書き・そろばん」。今でいうと「読み・書き・計算」です。
その類のドリルが、本屋さんから消えている。つまり、基礎学力を伸ばすような学習の重要性を皆さん理解しているということ。これは、非常に素晴らしいことです。
とはいえ、ただやみくもに漢字ドリルや計算ドリルをやらせればいいいうものではありません。
子どもに学習課題を渡すときにも、ちょっとした工夫をしていただきたいのです。
「ちょっと頑張ればなんとかなりそう」な量を渡す
漢字ドリルや計算ドリルを何冊もドサッと渡されて、「さぁ、やりなさい」と言われると、子どもはやる気を失います。これは、子どもに限らず、大人だってそうだと思うのです。大量の仕事を一度に渡されたら、先が見えなくてうんざりしてしまいます。
では、「やってみようかな」という気持ちになるのは、どのようなときでしょうか。
それは、「ちょっと頑張ればなんとかなりそう」と思えるときです。これなら、すぐに取り掛かることができます。
しかし、「いつまでたっても終わらなそう」「かなり大変だぞ」と感じたら、最初の一歩をなかなか踏み出せなくなってしまいます。
つまり、学習課題を渡すときには、子どもが「ちょっと頑張ればなんとかなりそう」と思えるような渡し方をすることが、ポイントなのです。
基本は、小出しにしてあげること。
まず、「あなたなら、15分でこのくらいできるんじゃないかな」と、少し渡してあげる。それを子どもが頑張る。このときすかさず、頑張っているところをほめてあげましょう。終わったあとにも、「ようし、よく頑張ったね」とさらにほめます。
家庭学習のリズムを作る
最初の課題が終わっても、すぐに次の課題を渡してはいけません。ここでちょっと休憩時間を与えたり、おしゃべりを楽しんだりしましょう。少し息抜きをしたあと、「じゃあ、さっきは15分でこんなに進んだから、次は10分ぐらいでこれもできるんじゃないかな」という形で、少しずつ積み上げていきます。
少々じれったいかもしれませんが、まずは2~3日、少しずつ積み上げるということを経験させ、休校中の学習習慣の基礎を作ります。こうして学習のリズムができたら、「じゃあ、明日は何をやろうか」と一日全体の計画に目を向けていくのです。
大切なのは、常に「ちょっと頑張ればなんとかなりそう」と子ども思えるような演出を心がけること。先の見えない休校期間だからこそ、心の負担を軽くする課題の渡し方が重要になるのです。
コロナ休校期間中、子どもへの声掛け
これまで経験したことのない一斉休校という事態。この休校は、「子どもの良いところを見つける期間」だと思ってください。
良いところを積極的に探し、良いところが見つかったら、すぐにほめる。
例えば、「たくさん食べてえらいね」でも構いません。「朝ちゃんと起きられたね。すごいね」と、ほんのわずかなことでもいい。子どもの良いところを見つけて、すぐにほめてあげてください。
学校がない。遊びにもいけない。このような、極めて特殊な長い休校期間であっても、その時間を上手に使うことで、家庭の中のコミュニケーションをはかり、家庭の絆を強めることができます。
子どもも親も大きなストレスを抱えていることと思いますが、頑張って乗り越えていただければと思います。