子どもの学習意欲を育む「自分からのぼりたくなる低い階段」とは
親としては、子どもにはちゃんと勉強してほしいと願うものです。
またそれは将来の自分のためなのだから、自分からすすんでしてほしいと感じている方が多いと思います。
ただ、子どもに対して「勉強して当然」という意識を持っていると、子どもの前向きな意欲を高めることができません。
ここでは、子どもの意欲を育む方法について考えてみたいと思います。
子どもが一段一段のぼっていく低い階段をイメージする
「勉強して当然」という親の視線を、子どもは敏感に感じ取ります。
それは、子どもにとっては、「のぼりきれそうにない高すぎる階段」になってしまうことがあります。
のぼる前から「のぼれそうにないな」という気持ちになったり、高すぎてどこに向かっているかわからなくなってしまうのではないでしょうか。
それよりも、子どもが自分から「のぼってみよう」と思えるような低い階段を作ることが、子どもの意欲を育てていきます。
階段を一歩のぼったことを子どもが自覚できると、なおいいでしょう。
「一歩のぼれた」という自覚
一番わかりやすいのは、子どものテストの点数を上げることです。
階段を一歩のぼったことが子どもにもはっきりとわかるので達成感にもつながりますし、次にまたのぼってみようというモチベーションにもつながります。
私ならまず、子どものテストの問題用紙に残ったメモや計算のあとをじっくり見ます。
そして、「ここまではわかっているんだな」というポイントをチェックして、「ここで点数を取らせたら、少なくとも10点は上がるかな」という目星をつけます。
そうして、勉強量をできるだけ抑えながら、効率よく点数を上げる勉強方法を考えます。
満点を取るのは大変ですが、10点上げることは、比較的無理なくできることです。
その結果、実際に点数をあげることができたら、「がんばったからだね!」と、思いきりほめてあげてください。
「テストの点数が上がった」というのは、とてもわかりやすい階段ののぼり方だと思います。
ご家庭で、勉強を取捨選択して効率よく点数をあげるというのは、なかなか難しいかもしれませんね。
そこで、まずは苦手なことに無理なく取り組むことから始めましょう。
計算が苦手なら、まずは単純な計算の練習の量を絞り込んでやってみる。
漢字が苦手なら、毎日ひとつずつ覚えてみるなど、すぐに取り組めそうなことから促してみましょう。
「〜するべき」は、子どもが動かなくなってしまう言葉
これは子どもだけではないと思うのですが、「これを絶対にするべき」と強要されると、突っぱねたくなるものです。
少なくともいい気持ではありませんよね。子どもは敏感なので、「こうするべき」という匂いを感じただけで、拒否反応を起こし、話をきかなくなってしまいます。
ですから、子どもに話をするときは、少し言い方を変えてみましょう。
「〜しないとあとで困るのよ」「〜しないと大変なことになるよ」「〜しないと合格できないよ」というネガティブな将来を示唆して、脅すように子どもの行動を促すのではなく、「こういうふうにすると、こんないいことがあるよ」というポジティブな言い方にするのです。
たとえば、翌日のテストに向けて勉強をしている子どもに声をかけるとしたら、「このページだけもう一度、15分だけでも見直したら、5点ぐらい上がるような気がしない?」という言い方はいかがでしょうか。
そのうえで、「あなたは記憶力がいいから、きっとこれで十分な気がするな」と一押し。
これだと「もっと勉強しないと、テストの点数が上がらないわよ」という言い方より、子どものやる気が出るのではないでしょうか。
子どもが自分から「のぼってみよう」と思えるような低い階段をつくる。
それを一歩一歩のぼることによって、子どもが日々達成感を感じながら、前向きな意欲を持ち続けられたらいいですね。