転塾にベストな時期は?中学受験各塾からのオススメ転塾先とコツまとめ
中学受験では、成績が上がらない、子どもが塾を嫌がっているなど、様々な理由から転塾を検討する方が後を絶ちません。
結論から申しますと、適切なタイミングで正しい転塾先を選ぶことができれば、現行の塾に無理に通うより、お子さんに負担をかけることなく、成績が上がるようになるケースは多いです。
一方で、時期を誤った転塾や、お子さんの性格に合っていない塾を転塾先に選んでしまうと、転塾をしたことで成績が反対に下がってしまうということも珍しくありません。
この記事では、適切な転塾のタイミングから、各塾からの移籍先として良い塾の候補、そして転塾時に何に気をつければ、転塾後に成績が上がるのか?中学受験の転塾に必要な知識をまとめました。
目次
1. 中学受験で転塾・転校を検討すべき3つの状況
中学受験において転塾を検討べき理由は、大きく3つ上げられます。
の3つです。
理由と程度によっては、転塾ではなく、校舎の変更(転校)や、クラスを変えてもらうだけでも問題が解決されますので、詳しく説明していきます。
【転塾を検討すべき理由1 】塾のスタイルがお子さんに合っていない(≒ 成績が上がっていない)
転塾を検討すべき最大の理由は、塾のスタイルがお子さんに合っていないというケースです。
予習必須の塾だけど、そもそも予習ができない。
カリキュラムの進度が早いのがウリの授業だけど、うちの子はマイペースに勉強したいタイプ。
といったように、塾の方針とお子さんの性格がマッチしていない場合は、転塾を検討したほうがよいでしょう。
言ってしまえば、「成績が伸び悩んでいる」お子さんの多くが該当するのですが、一口に「成績が上がっていない場合」と言えないのには理由があります。
それは「成績が上がっていない」原因が、塾のスタイルではなく、お子さん自身及びご家庭側で解決すべき課題にある場合は、転塾が逆効果になる可能性が高いからです。
成績が上がっていないのは、塾の問題なのか?塾以外の学習環境の問題なのかの見極めが必要です。
【転塾を検討すべき理由2】先生が苦手
特定の教科で、先生の授業の話が全く聞けていないせいで、授業内容が全く頭に入らないというお子さんも珍しくありません。
その理由は、
「教科書を読むだけの、子どもの興味を引けない授業をする先生」
「理由はないが、その先生だけが嫌い(よくない言葉ですが、生理的に無理などというケースは珍しくありません)」
と様々ですが、特定の先生1人だけの問題であれば、教室長に相談して、その担当の先生のクラスから変えてもらうなど対応が可能です。
ただ、校舎全体の先生の指導が厳しく、お子さんが萎縮してしまって、どの先生の話も耳に入らないという場合は転塾・転校を検討すべきです。
また、塾はそのビジネスの特性上、どうしても上位クラスに教え方が上手な先生が集中します。
お通いの校舎でお子さんのクラスに良い先生が回ってきていない場合も、転校を視野に入れましょう。
【転塾を検討すべき理由3】友人関係(他のお子さんと)の問題
一部のお子さんにとって、塾に通う他のお子さんとの関係も転塾・転校の理由になり得ます。
特に多いパターンは、塾自体が「成績上位者が絶対」とする校風を作っている校舎で、少しできなかったことを「こんなこともできないなんて、ダメだね」「馬鹿じゃない?」と意地悪を言われてしまうケースです。
そもそも、このような校風自体が良くないのですが、気にならないお子さんであれば問題はありません。ただ、そのような言葉に傷ついてしまうお子さんであれば、転塾を検討すべきでしょう。
特に中小規模の校舎では、同じクラスの中でも学力の差が開きやすく(少ないクラスにいろんなお子さんが集中する)、このような問題が起こりやすいため、同じ系列でもっと大きな規模の校舎に転校するというのも1つの手です。
また、下位クラスにありがちな、いわゆる「学級崩壊」を起こしている場合は、授業自体の質が確保されていないため、早急な転校・クラス移動が必要です。
【レアケース】お子さんのレベルが高く、塾のレベルが追いついていない
1点補足すると、少し特殊なケースですが、お子さん自身のレベルが高く、通っている塾のレベルが追いついていないため、転塾を検討されるケースもあります。
特に、近所に四谷大塚準拠塾や個人塾しかなく、大手進学塾が無い地域で育っている優秀なお子さんが、このケースです。
このような場合では、「4年生段階では1人で電車で通わせるのは、ちょっと…」と考えられていたご家庭も、「5年生からは電車で通わせもいい」と判断され、大手進学塾に転塾するケースことも珍しくはありません。
状況に合わせ、転塾・転校・クラス移動の3つの選択肢を持つ
大切なことは、お子さんの学習が上手く行っていないときに、塾を変えることをためらわないこと。
ただし「転塾」はメリットも大きい一方で、お子さんにかける負担も大きいため、クラスの移籍・転校(同じ系列の塾で、近くの違う校舎に移る)ことも選択肢に入れて考えることも検討が必要です。
ただし、前述の通り、成績不振・お子さんのモチベーションダウンの原因全てが塾にあるわけではないことは注意が必要です。
転塾をすべきかどうかについては、下記に記すメリット・デメリットや、転塾の際に気をつけることを合わせて参考にしてください。
2. 中学受験における転塾のメリット・デメリット
続いて、改めて中学受験における転塾のメリット・デメリットについても簡単にまとめます。
転塾のメリット
転塾のメリットについては、いくつかあげられますが、ここでは代表的なものを紹介します。
お子さんに合った塾を改めて選択できる(結果として、成績・モチベーションUP)
中学受験の転塾の最大のメリットは、お子さんの性格・特性に合った塾を改めて選べるという点です。
もちろん入塾段階から、お子さんに合った塾を選べることに越したことはないのですが、通ってみて初めてわかることもあれば、そして通っている内にお子さんが変わっていくことも当然です。
そのため、あらためて今お子さんに一番合った学習環境を選択し直すことができることが最大のメリットと言えます。
その結果として、もちろん「成績UP」という結果がついてくることもあげられます。
その他に、環境が変わったことで「ちゃんと勉強すればできるんだ!」と自信がつき、お子さんの学習に対するモチベーションがアップする点も大きいです。
不必要に高度な学習をする必要がなくなる(お子さんの負担軽減)
特に中学受験では、サピックスに多いケースなのですが、「受験といえばサピックスが一番」という考え方が未だに根強いのが中学受験の環境です。
もちろん成績上位者で、最難関校・難関校に合格するお子さんを見ると、サピックスの合格者数は業界随一なのは事実です。
ただ、上位クラス以外、特に下位クラスを見ると、中堅校・難関下位校の合格が特段高いわけではありません。
最難関校・難関校を目指すことは素晴らしいことではありますが、志望校が中堅・難関下位校である場合、サピックスに通うより、他塾に通ったほうが、お子さんの成績が安定して伸び、志望校合格の可能性が上がることも多いです。
お子さんにとっても、過度にレベルの高いお子さんと比べることがなく、自分のペースで勉強ができるようになるため、転塾することで不要な学習を切り捨て、頑張った分だけ、しっかり成績が上がる勉強ができるようになり、結果としてモチベーション・成績が上がり、楽しく勉強ができる環境を作ってあげることができます。
こちらも転塾を検討すべき、大きなメリットの1つです。
転塾のデメリット
続いて、転塾のデメリットにも目を向けてみましょう。
転塾のデメリットは大きくわけて3つあります。
カリキュラム進度の違いに合わせる負担
最大のデメリットは、カリキュラム進度の違いです。
塾ごとに扱う単元の順番が違ったり、授業の速度が違うため、転塾先で「これやってない」ということが出てしまうことがあります。
一見大きなデメリットに感じられるかもしれませんが、
基本的にはカリキュラム進度の緩やかな塾(日能研への転塾)、同じカリキュラムをベースにしてる塾(四谷大塚⇔早稲田アカデミーの転塾)に転塾することになるため、新しい塾に通ってみると「もうやった」ことが出ることの方が多く、一部やっていないことがあっても、余裕を持って対策できることが大半です。
詳しくは、各大手進学塾から、どの塾に転塾すると上手くいきやすいか?を別途、当記事の最後にまとめておりますので、そちらも合わせて参考にしていただけると、このデメリットは最小限に抑えることが可能です。
通塾環境が変わる負担
通塾環境が変わることもデメリットの1つです。
授業の日程や1週間のスケジュールが変わることはもちろん、塾の宿題の量や、予習・復習のバランスが変わるため、お子さんが新しい学習環境に慣れるまでに時間がかかることがあげられます。
転塾からしばらくは、親御さんがしっかり見てあげながら、塾の先生にも相談をすることが大事です。特に転塾前の段階から教室長の先生としっかりお話をし、どうしてあげると良いのかを考えていきましょう。
こちらについては、転塾に強い、個別指導やプロの家庭教師をつけることも1つの手で、より確実に新しい環境に馴染める転塾が可能になります。
転塾したからといって、成績が必ずあがるわけではない点
転塾したからといって、成績が必ず上がるわけではないのもデメリットの1つとしてあげておきます。
こちらは、そもそも転塾をするかどうかを考える際に、よく考えなくてはいけない点です。
予習が苦手なため、復習型の塾に転塾しよう。
反対に、授業内容の理解が不足しているため、予習重視の塾に転塾するということがあります。
ただ、やはり最大の課題は、お子さんが勉強にモチベーションを持てるかどうか?です。
塾を移っても、今まで通り勉強をしない。という状態が続いてしまっては、やはり成績は上がりません。
もちろん転塾を機に、やる気があがったり、授業に対するモチベーションが高くなることもありますので、やはりお子さんの成績不振の原因が、塾にあるのか?それともお子さんの気持ちや、家庭学習の環境にあるのかどうかを、転塾を検討する際に熟考する必要があります。
転校・クラス替えのメリット・デメリット
続いて、転校・クラス替えのメリット・デメリットについても説明します。
転校・クラス替えのメリット
転校・クラス替えのメリットは、カリキュラム進度・お子さんの通塾環境を変えることなく、お子さんのモチベーション・成績UPを図れることがあげられます。
そのため、現在のカリキュラムや学習スタイルは合っていて、特定の教科の先生が苦手、クラスの他のお子さんとの関係性に不安があるという場合は、転校・クラス変えを教室長に相談することをおすすめします。
転校・クラス替えのデメリット
転校・クラス替えのメリットは、約束された問題が解決されないことも多々あることが挙げられます。
塾のビジネス的な側面の話になりますが、顧客の流出を防ぐため、いろいろなことを約束してくれたとしても、それが実行されるかどうかはまた別の問題になってくるということです。
こちらについては、転校の場合は、教室長が対面して、しっかり対応をしてくれるかどうかで、ある程度その校舎の「質」を見極めることができます。この段階で、教室長が出てこれない校舎の場合は、既に手が回っておらず、その校舎の運営全体が回りきっていないことも容易に想像できます。
校舎ごとの口コミも参考になりますので、ぜひ合わせて検討材料にしましょう。
またクラス替えでの対応は、1つ下のクラスに回されてしまうこともデメリットの1つです。
その点も含めて許容できるかも合わせてご検討ください。
3. 転塾は、いつがベスト?成績が上がりやすい「転塾」にオススメの時期
続いて、転塾をするなら、いつがベストなのか?
転塾のタイミングについてお話します。
転塾にベストな時期は「夏期講習」
転塾にベストな時期は6月〜夏期講習の時期です。
サピックスを除いた大手塾では、夏期講習には「1学期の復習」を中心に授業が進みます。
サピックスに転塾すること自体レアケースかつ、業界最速のカリキュラム進度のサピックスに転塾すること自体を、ここでは想定していません。
そのため、1度やった内容を復習する機会が設けられているため、まだ習っていないことも含めて、夏期講習内で、転塾先とのカリキュラム進度の違いを夏期講習で埋めることができるからです。
2022年以前は、四谷大塚・早稲田アカデミーも夏期講習中は復習だけを扱っていたのですが、現在では2学期内容の予習と復習の併用となっています。それでも、他の時期と比べては、復習内容を扱っているため、やはり夏期講習が最適の時期と言えるでしょう。
転塾を検討されているご家庭の大半が5年生ということも踏まえると、5年生の夏期講習が最大の転塾のチャンスと言えます。
塾自体が「新規受講生を夏期講習に取りたい」と考えているため、新入生が馴染みやすいように塾側が配慮してくれる点も大きいです。
次点は「冬期講習」
夏期講習での転塾を見送った場合、次に転塾のチャンスとなるのは冬期講習です。
こちらも2学期内容の復習が行われるため、転塾がしやすい時期ではありますが、夏期講習と比較すると期間が短めのため、その点では、やはり夏期講習の方に軍配が上がります。
特に5年生は転塾最後のチャンスが冬期講習です。
塾を変えるかどうか迷いがある場合は、ここで決断が必要です。
4年生にとっても、早めの転塾で、早急な改善が期待できるため冬期講習はオススメです。
通常授業の時期は避ける
反対に学校にも通っていて、余裕があまりない通常授業の時期は避ける方がよいと言えるでしょう。
ただお子さんの状態や、塾側の環境改善が期待できない場合は、通常授業時でも転塾を検討する余地はあります。
4. 転塾は、いつまで?転塾のタイムリミット
続いて、転塾をするなら、いつまでにしないといけないのか?についてお話します。
転塾のタイムリミットは5年冬期講習
転塾のタイムリミットは「5年生まで」と考えてください。
6年生からの転塾は負担が大きく、お子さんが新しい環境に適応するのが間に合わず、その間に膨大な学習量が過ぎていってしまうため、6年生以降の転塾は避けたいです。
塾の新カリキュラムは、新年度の2月からスタートします。
そのため、5年生の冬期講習が、転塾の最後のチャンスといえます。
転塾をするかどうかを迷われている方は、5年生の冬の段階では「転塾をしなくてはいけないのでは?」と考えているご家庭が大半です。
そのため、最終決断はこのタイミングで行うことを強くオススメします。
6年生での転塾は、個別指導または小人数塾へ
転塾のタイムリミットは6年生までとお話しましたが、もちろん6年生になってから、様々な事情で転塾を余儀なくされることもありえます。
その場合は、まず転校(同じ系列の別校舎)・クラスを変えてもらうことを選択に入れてください。
それでも、塾を変えなくてはいけないという場合は、家庭教師・個別指導をつけるか、栄光ゼミナールを初めとする、少人数体制の塾への転塾を検討しましょう。
お子さんはもちろん、ご家庭も受験が近づく中で大きな不安を抱えられる時期です。
大手塾では、どうしても個別に手が回りきりません。
そのため少人数・個別で対応してもらえる塾を検討しましょう。
5. 転塾で気をつけることと、NG行動・思考
続いて、転塾を検討する際に気をつけていただきたいことと、NG行動・思考についてまとめていきます。
転塾は「負け組」という嘘に惑わされない
一部の塾・校舎では、「転塾」をすることで、既に受験が失敗したと同義。
転塾をしたお子さん・ご家庭は「負け組」と考える風潮があります。
プロの家庭教師として、ここで断言しますが、そんなことは決してありません。
このような発言をする人が、当然間違っています。
転塾は、お子さんがより学びやすい環境を選択する英断であり、よりよい志望校に向かうためのプラスの決断です。
1点気をつけていただきたいことは、塾を変えてしまえば、他のお子さんと会うこともなくなるのですが、同じ小学校に、同じ塾に通うお子さんがいるケースです。
例年ご相談をいただくのですが、その小学校で「塾をやめた駄目なやつ」といったようなレッテルを貼られてしまうというお子さんが稀にいます。
このような場合は、学校の先生や相手の親御さんに相談することももちろんですが、お母さん・お父さんが、「転塾は良いことだ」とお子さんにしっかり伝えてあげることも重要です。
カリキュラム進度の速い塾への転塾は基本NG
詳しくは、「各塾からの転塾先のオススメ」の項目にて紹介しますが、転塾先の候補として、今よりカリキュラム進度が早い塾を選択することは避けましょう。
そのため、
関東では、サピックス・グノーブル。
関西では、馬渕教室。
これらの塾は転塾先としては候補に上がってこないことが多いです。
転塾においては、お子さんが余裕を持って、学んだことを確実に吸収できる環境を作ることが最大の目的です。そのため、進度が似た塾または、より緩やかなカリキュラム進度の塾を選択することを心がけましょう。
ただし、一部の成績上位者(実際にずっと安定して成績が伸び続けているお子さん)で、よりハイレベルな学習環境を求めている場合は例外です。
【転塾先の校舎の選び方】人手が足りている/手厚い対応が期待できるかを見極める
転塾先の塾を選ぶ際に、どの校舎にするかも気をつける必要があります。
これについては、口コミとお子さんの行きたい志望校の進学率をチェックすることが基本です。
その他に気をつけるべき点として、転塾・転校を検討されている校舎の人手が足りているかも注意しましょう。
人手が足りている校舎は、自然と口コミ・進学実績も良いので、基本的には避けられるのですが、1年の中で急に人手が足りなくなってしまう校舎も珍しくありません。
ポイントは面談の際に教室長と会えるかどうかです。
教室長と会えて、親御さんが納得できる指導を約束していただけた場合は、その校舎は基本的には良い校舎です。
反対に面談のタイミングで教室長の対応がおざなりだった場合や、そもそも教室長が出てこれない(つまりは、他の業務で手一杯になっている)場合は要注意です。
【意外と多い】塾を何度も変えるのはNG
意外と多いのですが、校舎や塾を何度も変える方もいらっしゃいます。
基本的には、転塾は受験中1度で済ませするのが鉄則です。
もし転塾した後、再度転塾を検討する場合は、
そもそも今の課題は、転塾で解決するのか?
を改めて、じっくりと考える必要があります。
どれだけ良い環境が見つかったとしても、最終的に勉強をするのはお子さん自身です。
お子さんが勉強できる気持ち・環境を作るためには、転塾以外にできることは何か?も改めて考えてください。
また転塾・転校した先の校舎も良くなかったと感じられる場合は、どのような校舎が良いのか?をまとめて、次の候補の教室長とじっくり話し合うことも必要です。
転塾のたびに、お子さんには物理的・精神的にも負荷がかかりますので、ぜひ心に留めてください。
6. 各大手進学塾からのオススメ転塾先と、転塾後の勉強のポイントまとめ
各塾ごとに、オススメの転塾先と、転塾前後の勉強のポイントをまとめていきます。
サピックスからの転塾をお考えの場合
転塾先候補:グノーブル以外の大手進学塾
サピックスは中学受験業界で、カリキュラム進度が最も早い塾です。
そのため、どの塾に転塾する場合でも、授業が先に進んでいる状態で転塾できるため、どの塾も候補になり得ます。
ただし、グノーブルは、カリキュラム進度・塾のスタイルがほぼサピックスを踏襲しているので、サピックスで難しいお子さんは、同じくグノーブルも難しいと言えます。
1点、予習型の四谷大塚に転塾する場合は、これまでと学習の流れが大きく変わるため、転塾前から予習の習慣を作っておくとよいでしょう。(四谷大塚の予習シリーズを使って、サピックスの授業の予習をしてみることをオススメします。)
日能研・早稲アカ・浜学園などの復習型の塾には、比較的簡単に馴染めるようになると思います。
実際サピックスは他塾と違い、5年生以降生徒数が減る傾向があります。
お子さんの志望校がサピックスの勉強と合っていないと感じ、転塾する方は毎年一定数おり、サピックスもそれを良しとしている面もありますので、転塾の検討の余地は大きいです。
四谷大塚からの転塾をお考えの場合
転塾先候補:早稲田アカデミー/日能研
四谷大塚からの転塾先の候補としては、早稲田アカデミーと日能研の2つがあります。
四谷大塚は、良くも悪くも、お子さん本人の自主性を尊重した方針を取っています。
毎回きっちり予習をこなし、授業に臨めるお子さんは成績が上がる一方で、
予習ができずに授業を出てしまい、ある程度先生の強制力がないと勉強できないお子さんは四谷大塚で成績をあげていくことは難しいです。
そのため、決められた課題(宿題)を確実に消化していく「復習型の塾」日能研・早稲田アカデミーが転塾の候補となります。
特に早稲田アカデミーは先生が厳しめで、四谷大塚と反対に「塾に任せてください」というスタイルですから、四谷大塚で伸び悩んでいるお子さんの性格とマッチすると、急激に成績が上がるケースも多いです。
一方で、消化すべき課題量は中学受験業界随一ですので、親御さんが、復習型の学習に慣れるまで、「何をやって、何はやらなくていいのか?」課題の取捨選択をしてあげることが必須です。
日能研は早稲田アカデミーと比較すると全体的に緩やかですが、カラーや図版が多い四谷大塚テキストと比較すると、単調なテキストで繰返し問題を解くことになるため、「授業がつまらない」と感じることもあります。ただ白黒の単調なテキストでも、子どもたちを盛り上げる授業が上手な先生もたくさんいるので、校舎の見極めが重要になります。
いずれの塾に転塾するとしても、ご家庭での復習がしっかりできているかどうかが重要になるため、宿題を「やった。やってない。」で判断するのではなく、何に集中すればよいのか?を考え、必要な学習をご家庭主導で取捨選択していく姿勢が大切です。
早稲田アカデミーからの転塾をお考えの場合
転塾先候補:日能研 または 四谷大塚及び準拠塾
早稲田アカデミーからの転塾を検討されている場合は、日能研と四谷大塚(準拠塾含む)が候補です。
いわゆる早稲アカイズムといわれる、早稲アカの校舎の雰囲気に馴染めず、課題が多すぎてとても回しきれないという場合は、早急な転塾を検討されるべきです。
これまでと同じ学習スタイルで、無理なくこなしていくなら日能研。
学習スタイルを変えても、今のカリキュラムを維持したい場合は、四谷大塚。
という2つの選択肢があります。
日能研に転塾した場合、早稲田アカデミーより課題量がぐっと減るため、余裕を持った学習が可能になります。カリキュラム進度も緩やかなため、すぐに合わせることができ、お子さんの学習に対するモチベーションが回復し、学習スタイルを変えることなく、転塾を成功させやすいのが特徴です。
一方で、勉強量が少なくなったからといって、「やらないでいい」とお子さんが感じないように、一定量の勉強時間は保てるように注意してください。早稲田アカデミーほど無理に詰め込む必要はありませんが、学習時間が必要以上に減るのは本末転倒です。
四谷大塚に転塾する場合は、カリキュラムは同じものの、予習を軸にした新しい勉強スタイルを身につけることが必要です。これはご家庭主導でやり切る必要がありますので、しばらくは親御さんによる家庭学習管理が必要になるでしょう。
日能研・四谷大塚のいずれの塾も、早稲田アカデミーのように先生が子どもたちに、勉強するように強く働きかける習慣はありません。そのため、お子さんの気が緩んで勉強しなくなってしまうということもよくあります。
これまで先生が担っていた役割を、ご家庭で行うか、個別指導・家庭教師をつけるなどの方法での工夫が必要になります。
日能研からの転塾をお考えの場合
転塾先候補:四谷大塚準拠塾または少人数制の個人塾
日能研の授業は、同じ内容を何度も繰返す授業スタイルが取られています。
「小数1・小数2・小数3」といった小数単元が連続するのが特徴です。
真面目でコツコツこなすタイプのお子さんには向いている一方で、この同じような学習が集中する授業を「つまらない」と感じ、授業に全く身が入らないお子さんも少なくありません。
テキスト自体は単調でも、先生によっては、子どもたちが面白いと思える授業をしてくれるのが日能研の良いところなのですが、やはり下位クラスになると、そのような面白い授業をしてくれる先生がどうしても回ってこないこともあります。
そのため、テキスト自体が子どもの興味を引きやすい四谷大塚のカリキュラムを扱う四谷大塚の準拠塾に転塾するというのも1つの手です。
また地元の少人数制の個人塾で評判の良いところがあるなら、そこに移るのも手です。
少人数の塾なら、確実にその塾の良い先生の授業が受けられるからです。
栄光ゼミナールなども転塾の候補として良いです。
地元の志望校を狙う場合、大手進学塾よりも合格実績が豊富な個人塾もたくさんありますので、ぜひ1度検討してみてください。
グノーブルからの転塾をお考えの場合
転塾先候補:サピックス以外の大手進学塾
グノーブルは基本はサピックスと同じなため、サピックス以外の塾が転塾候補となります。
こちらもカリキュラム進度が早い塾でため、どの塾でも、授業が先に進んでいる状態で転塾できるため、転塾先の選択肢は多いです。
グノーブルとカリキュラムが似たのサピックスがよいんじゃないか?と考えられる方もいますが、グノーブルのカリキュラムスタイルが合わないお子さんは、サピックスも難しいです。
下記はサピックスと同じ内容になりますが、
予習型の四谷大塚に転塾する場合は、これまでと学習の流れが大きく変わるため、転塾前から予習の習慣を作っておくとよいでしょう。(四谷大塚の予習シリーズを使って、サピックスの授業の予習をしてみることをオススメします。)
日能研・早稲アカ・浜学園などの復習型の塾には、比較的簡単に馴染めるようになると思います。
浜学園からの転塾をお考えの場合
転塾先候補:
首都圏の場合 サピックス・グノーブル以外
関西の場合 日能研 または奈良よりの志望校を狙うなら馬渕教室
浜学園は中学受験大手塾の中で、サピックスやグノーブル並に進度が早いのが特徴です。
そのため、どの塾にも比較的容易に転塾することができます。
首都圏で、予習型の塾である四谷大塚に転塾する場合は「予習型」の授業スタイルに合わせるために、ご家庭主導で注意する必要があります。
関西では浜学園からの転塾は、日能研に転塾するのが基本ですが、奈良地域の難関校(東大寺・西大和)などに挑戦する場合は、馬渕教室も合格実績が高いためオススメです。
希学園からの転塾をお考えの場合
転塾先候補:成績上位者は浜学園へ/その他は日能研へ
希学園は御存知の通り、サピックス並みのカリキュラム進度に、早稲田アカデミーの持つ「塾の強制力」が強い一面もある塾です。
いわゆる「スパルタ」形式の塾といっても過言ではないでしょう。
成績上位者のお子さんで、希学園の作り出す空気感に馴染めているお子さんは最難関校を目指せるものの、そうでないお子さんにとっては転塾も選択肢に上がってきます。
希学園の中で成績上位にいるお子さんで、もう少し緩やかに勉強した方がお子さんに合っているな…と感じられる場合は浜学園へ。
膨大な課題量を回しきれずに成績が低迷しているお子さんは、日能研へ転塾して体制を立て直すことを考えましょう。
その際、日能研に転塾することを決して「逃げ」の姿勢と感じないでください。
適切な勉強量で、必要な学習量で回すことができれば、お子さんの成績はしっかり上がってきます。希学園の厳しいカリキュラムで頑張ってきたお子さんなら、必ずできるはずです。
注意点としては、いずれの塾に転塾するにしても、希学園の持つ強い強制力がなくなるため、勉強しなくなってしまわないように、しっかりとご家庭で学習管理をすることが必要です。
7. 中学受験での転塾の成功事例・失敗事例
最後に転塾することでどうなるのか?
中学受験の転塾の成功事例と失敗事例をご紹介します。
転塾の成功事例
成功事例1. サピックス → 日能研 への転塾事例(偏差値50から御三家合格へ)
サピックスから日能研に実際に転塾されたお子さんの事例です。
サピックス偏差50のお子さんは、日能研偏差値では60相当になります。
そのためサピックスでは「頑張ってもできない…」とモチベーションが下がっていたお子さんが、日能研への転塾を機に、「頑張ればできるんだ!」と思うようになり、モチベーションが上がり、成績も伸び始めるというのは毎年よくある事例です。
こちらのお子さんも、日能研に転塾後、テストの偏差値が上がったことから自信を回復。日能研のカリキュラムにもすぐに対応でき、学習がスムーズに回り始め、最終的にはサピックスでは合格できないと思われていた男子御三家に合格しました。
成功事例2. 早稲田アカデミー → 四谷大塚 への転塾事例(中堅校志望も難しい状態から難関校合格へ)
「とにかく全部やらないといけない」という真面目な女の子。
早稲田アカデミーの膨大な課題量が回しきれず、時間いっぱい勉強しているのに成績が低迷。
中堅校も絶望的と言われていたところ、5年の夏期講習の時期に転塾を決断。
予習型の学習スタイルになるが、早稲田アカデミーの「オリジナルテキスト」分の学習が丸々不要になるため、充分塾に馴染めると四谷大塚に転塾。
転塾後、もともとの真面目な性格で、少なくなった課題をしっかりこなしながら、成績が急上昇。
最終的に早稲田アカデミーでは検討もしなかった、首都圏難関校に合格。
転塾の失敗事例
失敗事例. 四谷大塚 → 早稲田アカデミー への転塾事例(元の学習習慣が変わらず、成績ダウン)
四谷大塚の予習にも手が入らず、塾の先生から強く勉強するように働きかけてもらえる早稲田アカデミーに転塾を決断。
転塾後も、学習に身が入らず、家庭学習もサボってしまうため、早稲田アカデミーの復習型のスタイルにも馴染めず、成績が大幅に下がってしまう。
その後、プロの家庭教師に相談。
勉強に身が入らないのは、決まった時間勉強する習慣がついていないことということがわかり、30分という短い時間から始めていき、家で勉強する習慣を見直してから、成績が向上。
原因が塾ではなく、本人の学習習慣にあることがよくわかる事例です。
まとめ:転塾の決断は早めに決めるのがベスト。夏期講習・冬期講習は緩やかに、転塾先に馴染みやすい。
ということで、中学受験における「転塾」について、多くの方が悩まれていることに、細かく回答してきました。
中学受験の転塾は…
■ 5年冬期講習までがタイムリミット
■ 転塾に最適な時期は、夏期講習
■ 転校・クラス移動という選択肢も合わせて検討する
■ 転塾を機に好転することは多い
といったことをお伝えしてきました。
この記事でお伝えしたかったことは、「転塾」を決してマイナスに考えてはいけないことです。
お子さんにとってより良い学習環境を築くにはどうすればよいのか?
を突き詰めて考えたときに、「転塾」が選択肢に上がることが良いことです。
大切なことは、本当に塾を変えたら変わるのか?どの塾のどの校舎に行けば、お子さんにとって一番良いのかをしっかり考えることです。
ぜひ、お子さんの転塾を検討する際には、当記事を参考にしていただき、お子さんにとって最高の転塾先を見つけてあげてください。