中学受験理科の成績を一気に上げるポイントとおすすめ参考書まとめ
中学受験の理科は、算数・国語と比べて、どうしても「後回し」になりがちな教科です。
その一方で、「理科こそが、中学受験の合否を分ける」と言われることも多く、正しい勉強方法さえ知れば、苦手な子でも点数が取りやすい教科であるのが最大の特徴です。
この記事では、「1ヶ月で偏差値+5UPを狙う」ことを目標に、中学受験理科の成績を一気に上げるために必要な情報・ノウハウ・役立つ問題集についてまとめました。
■ 中学受験の理科を好きにさせるには?
■ どう勉強すれば、志望校合格レベルまで理科の実力をアップできる?
■ 有名中学校・難関中学校合格に求められる「理科」の学習方法とは?
■ 近年の頻出テーマとは?
といった内容について詳しく取り扱っていますので、ぜひご参考ください。
目次
1. お父さん・お母さんに知ってほしい「中学受験理科の特徴」まとめ
まず初めに、中学受験の理科の勉強をする際に、お父さん・お母さんに最低限知っておいて欲しいことをまとめました。
【大前提】理科は「暗記科目」ではない
中学受験の理科は覚えることがたくさんあります。
そのため「暗記科目」と考えられることが多いのですが、これが理科の成績が上がらない最大の落とし穴です。
理科を単純な「暗記科目」と考えてはいけない理由は大きく2つあります。
1. 考え方や分析力を問う問題が増加している
近年人気校や難関校では、1問1答の問題ではなく、グラフや表を読み取ったり、実験結果から証明することのできる現象について、自分の言葉で説明する問題など、教科書内容を覚えているだけでは正答することができない問題を扱う傾向が強くなっています。
そのため、教科書の内容を暗記するだけでは、中学受験の理科の勉強としては不十分になっているのが現状です。
「なぜ、そうなるのか?」をお子さん自身が頭の中で整理し、人に説明できるレベルの深い「理解」が求められます。
2. ただ覚えるだけでは、「暗記」が追いつかない
一方で「暗記」を全くしなくていいかというと、もちろんそんなことはありません。
中学受験の理科で扱う内容は多岐にわたり、覚えなくてはいけないことがあまりにも多すぎるのです。
そのため、教科書の内容を頭にいれるときには、「何をどこまで覚えるのか?」を大人がある程度線引きして上げるなど、どうしても工夫が必要となってきます。
たとえば、中学受験の理科の単元の中でも最もわかりやすい例を上げると「植物」の「単子葉類・双子葉類」を分類する問題があります。
もちろん、この世にある全ての植物の分類を覚えるのは不可能ですが、受験本番の試験では、これまで聞いたことのない植物が出題されることも珍しくありません。
そのため数の少ない「単子葉類」に該当する植物だけを先に覚えてしまい、それ以外は「双子葉類」としてしまうというような暗記の工夫が必要となってきます。
詳細の説明は省きますが、下記記事も合わせてご確認いただくと、どのようにしてあげると「暗記」の効率が上がるかがわかりやすいです。
【参考記事】大人の視点で、子どもたちが苦労する「植物の分類」を整理する
理科は後回しにされがちなのに、受験の結果に響きやすい
志望校合格だけの話をすれば、「最低合格点を1点」でも上回れば合格できるということになります。
中学受験では、配点も「国算」の方が理科より多い学校がほとんどなため、国語と算数に重点が置かれがちで、実際に塾から出される課題量も国語・算数と比較すると、「理科」は少なく、ご家庭が軽視してしまわれても仕方ない側面があります。
近年の人気校や難関校の「理科」の試験を見てみると、合格最低点のボーダーラインは80%以上の正答を問われることが見て取れます。
人気校・難関校では試験が個性的で、「うちの学校では、このレベルの問題が解ける子を求めている」という希望が、明確に試験内容に反映されているのです。
一問一答の問題は正答できて当たり前。残りの20%で、お子さんの「思考」を問う問題で合否を分けられるように試験問題は作られます。
それらの問題は、グラフや表、実験結果から何が読み取れるのか?を見極める、本質的に「理科」が理解できているかどうかを問う問題です。
お子さんが、これまで教科書で見たことのないような問題が平気で出題されるのです。
そのような高度な問題が出されても、「こんなの解けない・・・」と諦めることなく、問題内容をしっかり読み、正答にたどり着けたお子さんだけが、合格ラインのボーダーにかかることができるのです。
そのため、せっかく算数と国語を頑張ったのに、理科の点数が足りずに、毎年不合格になってしまうお子さんは珍しくありません。(もちろん、これは同じく「社会」にもあてはまります。)
中学受験理科は、頑張り次第で成績が上がりやすい特徴も
一方で、勉強時間を確保して、正しいやり方で臨めば、理科が苦手なお子さんでも比較的簡単に成績が上がりやすいのも「理科」の特徴です。
理科は大きく「化学」「物理」「生物」「地学」の4つの分野にわかれており、苦手なお子さんでも、それなりに得点できる分野があるため、少しの努力で、お子さんのモチベーションを上げながら、どんどん成績を上げていくことができるようになりやすい一面があります。
というのも、理科というのは、この世の現象、お子さん自身の身の回りで起きていることを、科学的かつ論理的に説明するという教科のため、ちょっとしたきっかけで興味をもたせ、楽しく勉強できるようにしやすいからです。
詳しい理科の勉強方法については第二項以降で説明してきますが、合否の結果を分けやすい一方で、アプローチ次第では、苦手なお子さんでも短期間で成績UPができるとのが中学受験理科の最大の特徴と言えます。
理科の成績を一気に上げる鍵は、「知識と思考のバランス」
中学受験の理科は、「化学」「物理」「生物」「地学」の4つの分野に分けることができます。
入試問題は、これらの分野からバランスよく出題されます。
やはり算数が得意なお子さんが物理・化学が得意になりやすく、国語・社会が得意なお子さんは生物・地学の分野が得意になりやすいです。
ただ「生物と地学は暗記だけ。物理と化学は計算だけ。」というわけではありません。
あくまで、
生物・地学は覚えることが多い。
物理と化学は計算する場面が多い。
というだけで、
計算特訓をし、確実に正答にたどり着くために、作業慣れが必要(電流・力学の計算など)
仕組みを、頭でイメージして、理解できるまで勉強ができているか?(消化や血流など)
といったように、分野に合わせた勉強が必要になります。
もちろん、上記のようなことは、お父さん・お母さんもわかっているとは思いますが、改めて考えてみると、やはり、お子さんにテキストの問題を繰返し解かせているだけでは、どうしても理科の成績は上がらないことが、見て取れると思います。
2. 【1ヶ月で偏差値5UPを狙う】理科の成績を一気に上げる学習の3ステップ
理科の成績を一気に上げるには、勉強のフェーズを3段階に上げる視点を持ちましょう。
そうすることで、勉強量を増やすことなく、今までの勉強時間の範囲内で、理科の成績を上げることができます。
【STEP1】知識を習得する段階(一問一答・暗記の工夫)
【STEP2】仕組み・なぜ?の理解を深める段階(解説の熟読・親の声掛け・図解化など)
【STEP3】問題演習による「作業トレーニング」
という流れになります。
どんな学習なのか?また、実際にご家庭で学習する際の工夫のポイントを、詳しく解説していきます。
【STEP1】知識を習得する段階(一問一答・暗記のコツ)
理科は「暗記科目」ではない。とは言うものの、やはり一定量覚えないといけないことがあります。
例をあげると、
水溶液の酸性・中性・アルカリ性を調べるのには「BTB液」が使われますが、
酸性 = 黄色
中性 = みどり
アルカリ性 = 青色
というのは理科の基礎中の基礎ですね。
こういった知識は、まず覚える必要があります。
この知識がなければ、どれだけハイレベル中和の計算問題が解けたとしても、「結局BTB液は何色になったの?」という問に答えることができません。
このような基礎知識は、頑張って頭にいれる必要があります。
こういった暗記の場面では、お子さんが大好きな「語呂合わせ」も有効です。
BTB液は…「きみどあほ(お)」 = 「黄・みどり・青」で覚えるのが有名ですね。お父さん・お母さんも懐かしい響きではないでしょうか?
この知識を覚える段階では、お父さん・お母さんに語呂合わせ以外に、もう1つ工夫して欲しいことがあります。
大人にとっては簡単にできることなのですが、小学生のお子さんが自分で何をどうやって覚えれば良いのか?を考えるのは、まだまだ難しいため、自力で全部覚えるべきことと、規則性を覚えるだけで済ませられることを、分類してあげましょう。
冒頭でもお話した、植物の単元などは、特にこの思考が重要です。
ぜひ参考にしてください。
植物単元に見る暗記の工夫の重要性
中学受験の理科の単元の中でも最もわかりやすい例を上げると「植物」の「単子葉類・双子葉類」を分類する問題があります。
もちろん、この世にある全ての植物の分類を覚えるのは不可能ですが、受験本番の試験では、これまで聞いたことのない植物が出題されることも珍しくありません。そのため数の少ない「単子葉類」に該当する植物だけを先に覚えてしまい、それ以外は「双子葉類」というような暗記の工夫が必要となってきます。
詳細の説明は省きますが、下記記事も合わせてご確認いただくと、どのようにしてあげると「暗記」の効率が上がるかがわかりやすいです。
【STEP2】仕組み・なぜ?の理解を深める段階(仕組みを理解させるコツ)
続いては理解を深めるフェーズです。
この段階を飛ばして、問題演習を繰返したり、暗記だけに頼る勉強をしてしまっているお子さんが、理科に苦手意識をもったり、成績が下がってしまうお子さんの特徴でもあります。
中学受験の理科は、お子さんの身の回りで起こっている、「考えてみると不思議な現象」を解き明していく教科ともいえます。
「雲はどこから出てきてるの? どうやって雲は動いているの?」といった、子どもなら誰もが思ったことがある疑問の答えが次々出てくるわけですから、本来は、ほとんどのお子さんにとって、楽しい教科のはずなのです。
一方で「勉強」となってしまうと、「やらなきゃいけない」「覚えきらないといけない」など、どうしても、めんどくさい作業が伴ってくるので、楽しいだけとはいかないというのも、理科の持つ一面ですね。
このような、「どうしてそうなるのか?」という仕組みまで、どの単元でも、しっかり理解できることが理科の成績を上げる絶対条件です。
この「なぜ、そうなるのか?」までお子さんがきちんと理解できるような、中学受験の理科の学習方法としては2つ注意して欲しいことがあります。
学習した内容を自分の言葉で説明できるか?
お父さん・お母さんから見ても「お子さんが本当に理科の内容を理解できているか?」はわからないことも多いと思います。
実際に、お子さんが「わかった!」と言うし、本人も自信にあふれているから大丈夫だろう…と思ったのに、理科のテストで全く正答できなかった…というような経験があるのではないでしょうか?
中学受験を専門に教えている個別指導のプロ講師たちは、テストや問題の正答ではなく、一度お子さん自身の言葉で「どうしてそうなるのか?それはどういう意味なのか?」ということを説明してもらうフェーズを必ず取ります。
例をあげて説明します。
問)植物の葉っぱが太陽の光を吸収して、栄養素を作り出すことを何というか?
答)光合成
上記の問題は基本中の基本です。
どれだけ理科が苦手なお子さんでも、この問題が回答できないことはまずないでしょう。
ただ一問一答形式の暗記だよりのお子さんの場合、「植物・光・太陽・栄養」といった言葉を見て、「光合成」の問題だなと考えているだけになっているお子さんも珍しくありません。
そのようなお子さんは…」
問)光合成とはどのような原理か?詳細に説明せよ。
という問題が出たときに、うまく説明ができないのです。
実際に「光合成とは?」を詳しく説明すると下記のような答えが必要になります。
答)太陽光をエネルギーにし、気孔から得た二酸化炭素と、根から吸収した水を材料として、葉の中の葉緑体で、酸素と栄養分(デンプン)を作り出すこと
という説明になります。
大人でも改めて説明しろと言われると、すぐには出てこないのではないでしょうか?
ここで重要なことは、「気孔」「葉緑体」「太陽光」「水」「二酸化炭素」「酸素」「栄養分(デンプン)」という言葉が入っているかどうかです。
一問一答では簡単な問題でも、逆に聞かれると言葉が抜けてしまうお子さんが大半です。
拙い言葉でも自分の言葉で説明ができることが、理科の成績を一気に上げる鍵になります。
そして説明してもらったときに、いくつか言葉が抜けている場合は、ヒントをあげるのも大事です。
「何と何を使って、水と酸素ができるんだっけ?」といった感じですね。
ここで答えに詰まる単語は、そもそも頭の中に入っていないため、補完すべき知識がすぐに明確になります。
光合成は特にわかりやすい例なのであげましたが、結局のところどの単元でも、問題演習を始める前の解説で、どれだけ仕組みについて理解ができているかを確認してあげることが大事だということです。
B. 目に見えない抽象的な現象は視覚化する
「なぜ、そうなるのか?」については、いくら言葉で説明されても、全くチンプンカンプンだというお子さんも多いです。
電流などの目に見えない抽象的な現象をはじめ、言葉だけでは、どうしてもイメージがわかない問題も、中学受験の理科にはたくさんあります。
そのため、どうしてそうなるのか?は何度も説明するのではなく、図に書き起こしてあげたり、目で見せて上げることも必要です。
昨今はYoutubeなどで理科実験を見せてあげるのも非常に効果的です。
4年生で習う「磁力」の基本単元にわかりやすい例がありますので、それをもとに簡単に説明します。
<例題>
問1)釘と棒磁石があります。釘を棒磁石で同じ方向にこすると、どうなるでしょうか?。
問2)図の場合、釘の「右側」はS極とN極、どちらになりますか?
という、よく見る問題です。
多くのお子さんが、
問1答) 釘も磁力を帯びて磁石になる
という問題に回答できると思います。
続いての問2については、暗記しているお子さんは、
問2答)S極
という答えも出せるでしょう。ただ、そのようなお子さんは、時間が経つと「Nだっけ?Sだっけ」となりがちです。
一方で「どうしてそうなるのか?」をしっかり覚えているお子さんは、受験本番まで忘れることなく、応用問題にも、この知識を活かせるようになります。
ここで重要なことは3つです。
■ 全ての「鉄」が磁力を持っている
■ ただし、鉄(釘)の中の「磁力」は方向が定まっていない
■ 棒磁石の磁力で引っ張られ、一時的に釘の中の「磁力」の方向が同じ方向に向けられた
でも、言葉で言われても大人でもわかりづらいと思います。
なので、図に起こすと、こうなります。
↓
↓
といった感じです。
このように本来目に見えない磁力を、目に見えるようにしてあげることで、理解がしやすくなります。
—
このように仕組みを理解することで、
問3)磁石をひっくり返してS極でこすりました。釘の右側はN極・S極のどちらになりますか?
といったように、少しひねった問題にも簡単に対応することができるようになりますし、どうしてそうなるのか?まで覚えたことによって、時間が経っても頭から知識が抜けにくくなり、忘れてしまった場合もすぐに「そうだったな」と思い出せるようになります。
理科の成績を最速で上げるためには、このような「理解」を深める段階を必ず取ってください。
お父さん・お母さんが図解して説明することが難しい場合は、読みやすい解説がついていて、仕組みまでしっかり理解できる問題集を使うのも手です。
※ この記事の最後に、図解や仕組みの解説が詳細にされているオススメの理科の問題集を紹介しております。そちらも合わせてご参考ください。
【STEP3】問題演習による「作業トレーニング」(「書く」ことこそが成績UPの第一歩)
ここまでの「知識の習得」と「仕組みの理解」が済むと、問題演習の効率が一気に高まります。
問題演習は基本的には、問題に慣れること、「解答に必要な作業 = 計算や図への書き込み」に慣れることが目標です。
そのため「知識の習得」や「仕組みの理解」が不足したまま問題演習を始めてしまうと、理科の勉強効率が一気に下がってしまいます。
■ 宿題もちゃんとやっているのに、成績が上がらない
■ 問題集を何度やっても、テストで点数が取れない
■ 応用問題になると手も足も出ない
といったように悩まれている方は、これが原因です。
理科の問題演習の際には、「先生の解き方を模倣する」ことが鍵です。
特に「物理」「化学」の計算単元に言えることなのですが、図に「矢印」と「数字」を書き込むことを徹底して、演習を進めることで、お子さんの成績が一気に上がり始めます。
■ 電流の向き
■ 力の働く方向・強さ(重さ)
■ 浮力の大きさ・強さ
■ 濃度問題の量・濃さ
など、問題演習の際は、図に必要な数字や矢印を書く作業ができているかどうかを重視しましょう。
これは確実に正答するために避けては通れない作業のため、その作業慣れをするためにも問題演習があると言っても過言ではありません。
「書く作業」の手を抜いてしまっては、作業効率をあげるという目的達成の観点からすると、勉強していないのと変わらないのが本音です。
むしろ、前段階の仕組みを理解できている場合は、図に描き起こすことで問題を把握することができることをお子さん自身が体感できているため、図に書き込むことを率先して行うようになります。
図に書き込むことを嫌がるお子さんは、仕組みの理解からやり直してあげることも必要かもしれません。
理科の成績が驚くほど上がる1週間の学習の流れ
ここまで、中学受験理科の成績をあげるための3ステップをお話しました。
この3ステップを通して、理科の成績UPのために、お父さん・お母さんに知っていただきたいのは、「なぜ、そうなるのか?」の仕組みの理解を大切にすることで、知識の定着・問題演習の効率を高めることができてるという点です。
そして、この3ステップは、普段の1週間の勉強の流れを少し変えるだけで、簡単に実践していただくことができます。
といった流れが理科学習の基本になります。
これを見ていただいてもわかると思いますが、宿題や繰返し問題集を解くことに重きをおいていません。
お子さんが理解できているかどうか?に多くの時間を使い、できる限り授業で理解しきることを目標にしています。
理科は他教科と比べると、簡単な予習で、塾の授業内容の理解度が上げやすい特徴があるため、少しの工夫で勉強時間を増やさずに、成績を上げやすい一面があるからです。
短時間でも大きな効果が得られますので、上記を参考に、ぜひ1週間の理科学習の流れを見直してみてください。
3. 理科が苦手なお子さんの対策方法
ここからは、既に理科が苦手になってしまったお子さんの対策法をまとめていきます。
理科は最も「得意にさせやすい」教科
中学受験では、算数が苦手なお子さんがテストで0点を取るということは珍しくないですが、理科が苦手なお子さんでも0点を取ってくることはまずありません。
これは、苦手なお子さんでも「化学」「物理」「生物」「地学」のどれかに、多少得意な単元があるからです。
中学受験で苦手教科を得意にするコツは、「得意の核」を作ることです。
苦手教科の中にも、得意な単元を1つ作れれば、「正しい勉強方法で勉強すれば、できるようになる」ということを実感できます。
この得意な単元を1つ作ることが、理科は最もやりやすいのです。
そのため、理科が苦手なお子さんであっても、ほんの少しのきっかけで、苦手意識がなくなって、理科が好きになれます。
理科が苦手なお子さんを、理科好きにする3ステップ
では、理科が苦手なお子さんを理科好きにするためには、どうすればよいのでしょうか?
理科を得意にするには下記の手順を意識してみましょう。
【STEP1】得意単元を1つ作る
【STEP2】「苦手」の理由を知る
【STEP3】「理解」のきっかけを作ってあげる
具体的に説明していきます。
【STEP1】得意単元を1つ作る
まずはお子さんの気持ちの切り替えが大事です。
「頑張ってもどうせできない…」という気持ちで勉強すると効果は期待できません。
そこで、お子さんが得意な単元を見つけて、「やればできる」ことを実感させてあげてください。
テストで正答数が多い分野があれば、「〇〇は得意なんだね。すごいね。」と褒めてあげ、まずは1〜2単元得意なものを作りましょう。
これをきっかけに、お子さんが「別に理科ができないわけじゃないんだ」「ちゃんと勉強すればできるようになるんだ」と思えることが大事です。
【STEP2】「苦手」の理由を知る
お子さんがどうして理科が苦手なのか?を知ることも大事です。
「化学」「物理」「生物」「地学」の、どの分野がお子さんが苦手なのかを、調べてみましょう。
国語・社会が得意な文系のお子さんは「生物」「地学」が得意。
算数が得意な理系のお子さんは「化学」「物理」が得意になりやすい傾向があります。
どの分野が、なぜ苦手なのか?を知ることで、対策を立てやすくなります。
【STEP3】「理解」のきっかけを作ってあげる
テストの点数を見れば、お子さんが苦手にしている単元はすぐに特定できます。
ただ、その問題をお子さんだけでいくら解き直させても、
「できないことを、延々とやらされるだけ」
「問題を解くという辛い作業をやらせるだけ」
になってしまい、理科嫌い・苦手意識が加速するだけになり、逆効果です。
大切なことは、苦手分野を特定した後、理解ができるように大人が導いて上げることです。
暗記が苦手 = 覚えることの整理・法則・語呂合わせを教える
計算分野が苦手 = 図への数字の書き起こし方のトレーニング
仕組みの理解が苦手 = 抽象概念を、目に見えるように説明する/身の回りの現象で例を上げる
といったことを、大人がやって上げる必要があります。
このように説明すると、この記事を読ませて、子ども自身にやらせようという方も少なくないと思います。
ただ、それができるのはもっと勉強に慣れて、自発的に勉強ができるようになった中高生並みの成長が必要です。
小学生のお子さんには、どうしても大人が理解できるように付き合ってあげる必要があります。
そこで、忙しいお父さん・お母さんでも、お子さんの理科の勉強をサポートしやすい方法が1つあります。
それは「コアタイム学習」を意識してください。
ここまで解説した通り、理科の学習は、問題演習を始める前に、仕組みをしっかり理解できているか?が大切です。
この「仕組みの理解」には、塾の授業内容を振り返り、自分の言葉で説明ができることが第一歩です。
「コアタイム = 大人が手伝ってあげる学習」として、教科書を大人の前で再度読んでもらい、そこにどんなことが書いてあったか?どういう理屈なのか?を親が聞いて上げる時間を取ってあげましょう。
これにより、自分自身の言葉で説明する習慣ができ、理科の理解が一気に高まります。
お子さんの理科嫌いを克服するために、ぜひ今日から始めてみてください。予想以上に効果が出て驚かれると思います。
4. 中学受験理科でつまずきやすい単元と対策 まとめ
中学受験の理科で多くのお子さんが苦手になりやすい単元があります。
苦手になりやすい単元は、大人でも仕組みを理解することが難しいことが多く含まれるため、あらかじめ予習を強化するなど、十分対策をしておくことで、周りのお子さんに差をつけることができます。ピンチをチャンスに変えるため、ぜひ下記を参考に「つまずき単元」をクリアしていきましょう。
中学受験理科「4大つまずき単元」
中学受験理科で特につまずきやすい単元には、以下の4つがあります。
■ 物理「電流」
■ 物理「力学:浮力・バネ」
■ 化学「中和計算」
理解が難しいということは共通していますが、その難しさの理由は、単元によって全く違います。
ただ、子どもたちが難しいと感じる理由を知り、対策をすることで、理解がしやすくなるのは、どの単元も一緒です。
なぜ、つまずきやすいのか?
どのようにしてあげると、できるようになるのか?
について、個別に解説していきます。
【つまずき単元1】地学「天体:月・太陽・星の動き」
つまずきやすい理由:原理原則の理解よりも「すべて覚えてテストなどに対応すればいい分野」という認識で学習されがちなため、つまずきやすい単元。
対策方法:
原理原則の理解を大切にすることが鍵。
そのため、模式図の活用が効果的です。
天体の日周運動(1日のうちで天球上を移動する運動)は地球の自転、年周運動(1年で天球上を移動する運動)は地球の公転によるものだということを基本に、模式図を描いて計算によって問題を解くように勉強の仕方を根本から変えましょう。
星は「1日(24時間)で360度=1時間で15度・1年(12ヶ月)で360度=1ヶ月で30度」を基本に。月は地球のまわりを好公転する月の様子を模式図に書いて考えるのが必須です。
図式だけでイメージがつかみにくいお子さんは、模型に光を当てて見せることも有効です。
Youtubeなども合わせてご活用ください。
【つまずき単元2】物理「電流」
つまずきやすい理由:電流の流れは目に見えないことが最大のつまずきポイント。「乾電池の直列は電流がたくさん流れる」「豆電球の直列は電流があまり流れない」という暗記(4年生の学習は乗り切れる)のままで5年生の電流にも対処しようとすると、理解ができなくなってきます。
対策方法:
電流(回路を流れる電気)、電圧(水を押し流すポンプ)、電気抵抗(電気が流れにくい部分)のイメージを具体的に掴むことが大切です。
「豆電球の直列つなぎ=電流が流れにくい」という丸暗記ではなく「電流が流れにくい道が長くなるのだから、さらに流れにくくなる」という具体的なイメージで理解するように意識して下さい。電気抵抗について「抵抗=逆らうこと」というイメージを持つことが大切です。
【つまずき単元3】物理「力学:浮力・バネ」
つまずきやすい理由:感覚的な理解よりも公式の暗記を優先すると失敗する単元です。
対策方法:日常でてこの原理を経験し、感覚的に理解しておくことが重要です。はさみやニッパー、トングなど身の回りでてこを利用した器具をあらためて経験して学習内容を理解し、力点から支点までの長さが長いと小さな力で大きな力を生み出すことができることを感覚的に理解しましょう(腑に落ちた状態にすること)。
その上で「かかる力の大きさ×支点までの長さ」という計算式を正しく使う練習を。支点・力点・作用点とそこにかかる力の大きさを図に書き込んで計算することも重要です。
ばね、浮力に関しても同様に、かかる力の向きと大きさを必ず図中に書き込んで考える習慣が大切です。
【つまずき単元4】化学「中和計算」
つまずきやすい理由:酸性、アルカリ性の水溶液が混ざると中性になること、その代表的な例が塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和であること、その仕組みを化学反応式(小学生は化学式を使わないので「ことばの式」)で理解できていないことが多く、苦手になるお子さんが続出します。酸性、アルカリ性の水溶液それぞれに共通する性質などについて理解できていないことが原因です。
対策方法:塩酸(塩化水素)+水酸化ナトリウム→水(水素と水酸化物が結合)+食塩(塩化ナトリウム)という基本的な仕組みを左記のような「ことばの式」を書いて理解することから始めましょう。
その上で比例計算を正しく行うことが重要です。
反応に使われる物質が元の量の何倍になっているかをもとに、中和によってできる食塩の重さを正しく計算できるかがポイントです。
塩酸は気体が溶けた水溶液だから入れずぎても溶液中に固体が増えない、水酸化ナトリウム水溶液は固体が溶けた水溶液だから入れすぎると溶液中に固体が増える、ということを意識しながら計算できるかどうかもポイントです。
算数の計算や割合(%)・比、濃度算が苦手なお子さんは、そちらを優先して対策することも必要です。
5. 中学受験理科 オススメテキスト・問題集
ここまで中学受験の理科の学習の進め方について解説しましたが、実際にご家庭で「理科」を教えるときに使いやすい、オススメの問題集・テキストを紹介します。
中学受験 すらすら解ける魔法ワザ 理科・基本から始める超入門
出版社 : 実務教育出版 (2024/4/10)
著者:辻義夫 監修:西村則康
中学受験の定番シリーズ「魔法ワザ」シリーズ。
理科の基本に特化した1冊です。
塾なしでの中学受験に挑戦するご家庭でも、これ1冊で中学受験理科の基礎知識が全て身につきます。
お子さん1人で解説を読むだけで「仕組みの理解」まで完了することを目的にしており、補助教材としてもぴったりですし、お父さん・お母さんがお子さんに理科を教える手引にするのにもオススメです。
「基礎編」となっていますが、基礎理解をしっかり固めることで、応用問題に挑戦する土台を作り上げることが目標となっているので、最難関校に挑戦するお子さんが理科の苦手単元の対策をするのにも最適です。
四谷大塚予習シリーズ 理科
こちらも中学受験の定番「四谷大塚 予習シリーズ」です。
予習シリーズは子どもだけで読んで、理科に興味が持てるように、図版も合わせて、わかりやすいテキストとなっています。
四谷大塚・早稲田アカデミーに通っている受験生は既に使用している教科書ですが、サピックスのような予習禁止塾に通われているお子さんにこそ、予習シリーズをおすすめします。
「今日は何をするのか?」
「どんなことを解説で聞くのか?」
を一度頭に入れてから授業に臨むことで、お子さんの授業の理解度が一気に高まります。
予習シリーズは、授業前に10分〜15分で読めるため、タイムパフォーマンスが非常に良いです。
まとめ:理科の成績を一気に上げるには「仕組みの理解」を重点的に
ここまで、理科の成績を上げる方法、理科の苦手を克服する方法についてまとめてきました。
問題集を繰返すことも、「作業に慣れる・問題に慣れる」という点では大事なのですが、「なぜ、そうなるのか?」を理解してから問題演習をすることで、勉強の効果は段違いになります。
この記事でご紹介したように、テキストを上手く活用する、授業の受け方を変えてみる、予習を強化する…など色々な方法で、勉強時間を増やさずに、理科の成績を上げることができます。
ぜひ、この記事を参考に、お子さんの理科の学習方法を一度見直してみてください。