中学受験以前に大切な、子どもの「なぜ勉強しなくちゃいけないの?」という質問への答え
子どもに「なぜ勉強しなくちゃいけないの?」ときかれたら、どのように答えるでしょうか?
今回は、子どもへの答え方と、勉強することによって得られることについて改めて考えてみましょう。
受験を終えても、勉強は終わらない
なぜ、勉強をしなければいけないのか。覚えた算数の公式は大人になって使うことがあるのか。
このような問いを子どもに投げかけられたり、もしくは、子どものころに同じような疑問を抱いた経験は、多くの方がお持ちなのではないでしょうか。
「そんなことはいいから、テストの前にこれを覚えなさい。」
私は、この答え方はまだよいほうだと思っています。
もっと心配なのは、「今のうちに勉強をがんばったら、いい中学、いい高校、いい大学に入れる。そうすれば、あなたの人生は楽になるのよ」「いい中学校に入れば、受験勉強から解放されて遊べるのよ」などと答えてしまうことです。
中学受験を終えても、勉強は終わりません。
偏差値の高い学校に入るということは、同じようにコツコツがんばってきた仲間と、切磋琢磨しながら中学生活を送ることを意味します。
より周囲の能力が高い環境では、これまでと同じか、それ以上に勉強をしないとついていけなくなるかもしれません。
もし、楽になること、遊ぶことを目的にしているのなら、難関校を目指さないほうがよいと思います。
難関校の入試を突破することが目的なのではなく、その環境で学ぶことが、受験勉強の目的なのです。
「なぜ勉強するの?」「大人になって使うことある?」
子どもに「なぜ勉強しなくちゃいけないの?」と聞かれたとき、私ならこう答えます。
「考える力やチャレンジする力、目標に向かって努力する力。そんないろんな力を訓練することが、勉強する目的なんだよ」。
算数や数学に関して「大人になって使うことある?」と聞かれた場合は、「今は、算数の勉強を通じて、考え方を学習しているんだ。
だから、ただ形だけを覚えるだけじゃなくて、ちゃんと理解して納得していくことが大事だよ」というように答えています。
なによりも大切なのは、「勉強の楽しさ」「知ることの楽しさ」を知ることです。
新しいことを知って、さらにその先にあることにチャレンジする楽しさを感じられるかどうか。
この力があれば、これから先、人生の難しい局面にぶつかっても怖いものはありません。
勉強のごほうびは、ゲームやお小遣いではない
「テストでよい点数を取ったら、ゲームを買ってあげる」「90点以上ならお小遣いアップ」などと、結果に対して物でごほうびをあげるというやり方をしている家庭もあるようです。
私は、これは勉強の本質とは異なるやり方だと思います。
では、勉強のごほうびとはなんでしょうか。本来は、これまでわからなかったことがわかったときの「なるほど!」という快感です。
納得したときのスッキリした気持ちのいい感じ、うれしい感じ。その快感を得ることが、勉強することの意義なのではないでしょうか。
子どもがもし、そんな感覚をつかんだ様子を見たら、「さすが、よくわかったね!」「あきらめないでよくがんばったね」と声かけをしてあげてください。
わかったという事実だけをほめるのではなく、「わかることができた、わかるまでがんばることができた子ども」をほめてあげるのです。
その子が勉強の本当のおもしろさを知ることが、人生にとって真のごほうびです。
そのことによって、これからの人生がより豊かになるのではないでしょうか。