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算数の文章問題が解けない子の「3行の壁」とは。その乗り越え方について

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公開: 最終更新日:2021年07月20日

算数の文章問題が苦手というお子さんは、非常に多くいます。
実際には考えれば解ける問題であっても、文章が長くなっただけでお手上げというお子さんも少なくありません。
では、どのくらいの長さになると「わからない」と感じるかというと、問題文が3行を超える長さになると「長い」と感じるお子さんが多くなるようです。
ここでは、そんな長めの文章題の乗り越え方について考えてみます。

問題文の意味がわからない子には「ひそひそ音読」を

算数において「応用力」という言葉がよく使われますが、これはどんなものを意味しているのでしょうか。

算数における応用力とは、次の2つであると私は考えています。

  1. 難しい問題の考え方などを読んだり聞いたりして、理解する力
  2. 問題を読んで、その問題を解くには過去に習った何を組み合わせるとよいかがわかる力

塾の授業を聞いて理解できる、次の週の確認テストで先週習った問題を解くことができるというのは、おもに1.の力によるものです。
そして、文章問題の問題文が3行以上になると意味がわからなくなるというのは、1.の力が不足している状態と言えます。

しかし、問題文が長い文章題を「わからない」と言って質問に来る子どもに、ゆっくりと問題文を音読してあげるだけで「なんだ、そういうことか!」となることも多いのです。

つまり自分で問題文を読んでいるとき、読んでいるようで「字をなぞっているだけ」といった状態の子が多いということです。

このような子には、まず問題文を音読させます。
自分で問題文を音読して内容を正しく理解できるようになったら、こんどは黙読で理解できるようにしていくのです。

このときのポイントは「音読するように黙読する」ことを教えてあげることです。
具体的には、声が出るか出ないかくらいの音量で音読させ、やがて声には出していないが本人の頭の中では音がなっている、という状態にまで持っていくのです。

これを私は「ひそひそ音読」と読んでいて、多くのお子さんがこの方法で文章題の「3行の壁」を乗り越えています。

塾の平常授業だけをがんばっていても、応用問題は解けない?

それに対して、普段の授業では難しい問題もわかるのに、実力テストで点が取れないのは、2.の力の不足によるものです。

つまり、毎週の授業で習った問題を理解し、自力で解けるようにするだけでなく、時間がたったときに過去に習ったことを思い出し、組み合わせる力をつけなければ、実力テストの応用問題には対応できないのです。

実力テストで結果を出すには、毎週の塾の授業を理解して宿題をこなすだけでなく、それらを組み合わせて活用する練習をふだんからしておかなければなりません。

効果的な対処法は、復習のサイクルをふだんの勉強の中にとり入れ、時間がたっても習ったことがすぐに頭から出てくるようにしておくことです。

毎週の塾の復習や宿題で手一杯、と感じているお子さん、ご家庭も多いかもしれませんが、1か月〜3か月前に習ったことを思い出す時間を、少しずつでいいのでとることです。

復習のサイクルを上手に立てやすいのは「思い立ったとき」にせずに「決まった時間に」復習することです。
もっとも成功しやすいのは、朝の時間です。
朝の10分〜30分を計算や漢字の練習にあてているご家庭も多いと思います。

ここに1日数問でもいいので、文章題の復習を入れるようにします。

「わからない」という先入観をなくす

「わからない」と言って質問に来る子どもに、ゆっくりと問題文を読んで聞かせると理解する事が多い、とお伝えしました。

このことが何を表しているかというと、子どもたちは文章が長いだけで「難しい」と思い込む傾向があるということです。

まずは

  • 「文章が長いからといって、難しいとは限らない」
  • 「文章が長くても、最後まで読んだらきっと分かるように書いているはずだ」

ということを伝え、わからせてあげる必要があります。

このことは塾の授業の受け方にも言えることで、
「先生の話が難しいと思っても、最後まで聞いたらわかるように話してくれているはずだから、とにかく最後まで聞くんだよ」
と伝えるだけで、授業の理解度は格段に上がるのです。

同じように問題を読むときも「最後まで読んだらきっと分かるはずだ」と考えて読むように伝えてあげましょう。

4年生の後半、5年生くらいから、子どもたちが「わからない」と感じる問題が増えてきます。
実際に難しい問題も多くなるのですが、聞き方、読み方で乗り越えられる部分も大きいものです。

ぜひお子さんに伝えてあげて、親子で応用問題を乗り越えてください。

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