子どもの心を動かす「大人っていいな」「前向きな大人の姿」の伝え方とは
親は、子どもを自分の一部のような感覚でとらえてしまうことがあり、自分の腹立たしさやイライラを、ついぶつけてしまいがちです。
そうならないための子どもとの距離の考え方と、毎日を気持ちよくすごす方法について考えてみました。
自分とは違う人生を生きていくということを意識する
大人も子どもも、誰だってイライラしてしまうことはあります。
もしそのイライラの原因が友達なら、直接怒りを爆発させることなく、相手の気持ちを考えて遠回しに伝えたり、自分なりに気持ちを整理して流したりするのではないでしょうか。
でも、自分の子どもに対しては、つい露骨に腹立たしさをぶつけてしまっていなおでしょうか。
その原因は、子どもを自分の一部のように考えてしまっているからだと思います。
それを防ぐにはまず、「目の前のこの子は、自分とは違う人生を生きていくんだ」ということを、常に自分に言い聞かせておくことが大切です。
自分とは違う人間で、いつかは自分のもとから去っていくんだ、ということを意識しましょう。
子どもがなにか人より秀でていたり評価されると、それを自分の手柄のように感じたり、子どもにできないことがあると自分の恥だと感じてしまう人もいますが、そのように感じる必要はないと思います。
親が子どもに伝えられること
実は親にとって、子どもと勉強を軸にやり取りする期間は、ほんの数年しかありません。
高校受験や大学受験は、中学受験ほど親のサポートが必要ではないからです。
子どもはそうやって少しずつ、自分の力で人生を生きていくようになるのです。
私事ですが、長女がまだ子どものころ、勉強を厳しく教えてしまい、数回、泣かせてしまったこともありました。
でも結婚式のときに「父が持っていた本箱の本と、父がいれてくれるコーヒーから東京への憧れが生まれ、東京の大学を目指しました」と言ってもらえたのはとてもうれしいことでした。
親が伝えられる大切なことは、具体的な勉強ではなく、「大人っていいな」という憧れのようなものなのかもしれません。
先延ばしになっていることはありませんか?
宿題や塾の予習復習などを「あとでやるから」と先延ばしにしている子どもを見て、つい叱ったり注意することもあると思います。
でも、ご自身はどうでしょうか。
いつか掃除しようと思っている物置の掃除。
洋服の整理整頓。
シンクの汚れ掃除。
換気扇のフィルターの交換。
仕事をしている方なら、企画書をいつもギリギリに作ってしまう。
会社のデスクやパソコンの中のデータ整理など、きっと、なにかしら先延ばしにしていることがあるのではないでしょうか。
そんな「先延ばしにしていること」を一度、書き出してみましょう。
そして、終わらせることができたら、線で消していくのです。
きっと、気持ちがすっきりするはずです。
その経験を、子どもにも伝えてみましょう。
ちょっと注意が必要なのが、押し付けがましくならないようにすることです。
「お母さん、やってみてすっきりしたから、あなたも…」と言い始めると、子どもは耳をふさぎます。
なにかのついでに、さりげなく伝えるだけでいいと思います。
「先延ばしにせずに、さっさとやりなさい」とただ言葉で伝えるより、親がそれを経験しておくことで、つい先延ばしにしてしまう気持ちも理解でき、それが解決できたときの爽快感もあるので、子どもに伝えるときの説得力が増すのではないでしょうか。
子どもは、大人の心情の変化を敏感に感じ取る
大人も、気になっていたけど先延ばしにしていたことをひとつずつ片付けることで、気持ちがすっきりして、達成感を味わえるのではないでしょうか。
その結果、子どもにニコニコと接することができたらいいですよね。
学校から帰ってきたときにお母さんの機嫌がよかったり、週末にお父さんの気持ちに余裕があると、子どもの半日や1日がそれで決まります。
子どもに「お母さんやお父さんが、やるべきことを片付けてすっきりしている姿」を見せるだけでも、いい影響があると思います。
まずは大人が、そのようなほんのちょっとした行動や考え方を変えてみるといいかもしれませんね。