「割合」の感覚を身につけるための意識と練習のポイントとは
小学校算数最大の難関の1つである「割合」を扱った計算では、分数や小数点のかけ算やわり算、また小さい数字を大きな数字で割るような問題が出てくるようになります。
今回は、「割合」の問題に関して、どのように計算力をつければいいのかをご紹介します。
今までとは違うかけ算とわり算
「割合」の計算で分数、小数点のかけ算やわり算をする前までは「かけ算では答えがもとの数字より大きくなる。わり算ではもとの数字より小さくなる。」という計算しかしていないので、子どもの中ではそれが常識になっています。
しかし、分数や小数点が入ることでその常識がひっくり返ることになります。
実際の計算を見てみましょう。
たとえばかけ算では:
×1
2
0.5
=
150
わり算の場合は:
÷1
2
0.5
=
600
というようになります。
分数のかけ算、わり算について理解できていれば問題ではありませんが、なぜこうなるかがわかっていないと違和感が残り、本当にこれで正しいのか?と迷いながら計算するため、計算するスピードや正確さに差が出てきます。
感覚を持って計算の経験を積む
割合の計算を正確にこなしていくために、理論的に理解できる子の場合にはきちんと説明をして、なぜこのような計算になるのかということを説明するのがいいでしょう。
しかし、理解できない子の場合、計算の過程をあれこれと理解させるのではなく、分数や小数点のかけ算わり算はこういうものだ、という感覚を持たせましょう。
その感覚が持てるようになるにはとにかく計算の経験を積むことです。そして親もその感覚が持てるように言葉で誘導してみましょう。
例えばかけ算であれば、
「300に1をかけたら300だよね。2をかけたら600で大きくなるよね。じゃあ0.5をかけたらいくつになるかな?150だね。小さくなったね。」
わり算の場合は
「300を1で割ったら300だよね。2で割ったら150、小さくなるよね。じゃあ0.8で割ったらいくつになるかな?375だね。300より大きくなったね。」
など、数字を変えながら何度も繰り返してみましょう。
1より小さな数字をかけると答えは小さくなる、割ると答えは大きくなるのだ、という感覚を身につけることが大切です。
そうすることにより計算違いをしてしまった場合、その答えに「違和感」を持ち、間違いに気づくことができるからです。
問題の言葉を意識して計算する
割合の問題では小さな数字を大きな数字で割るということもよくあります。小学生にとっては理解しづらい計算式でしょう。
このような計算でよくあるパターンが割る数字と破られる数字をひっくり返し、自分に都合がいい形で計算してしまうことです。
例えば
÷
75
という計算を
÷
25
という計算に数字を勝手に置き換えてしまいます。
もちろん数字をひっくり返せば今まで学習してきて慣れた方法でわり算ができるかもしれませんが、もちろん答えは不正解となります。
問題を理解していない子は自分の知っている方法でどうにか解決しようとしてしまいます。
問題で問われている内容が意識できていないことが大きな理由です。
例えば
÷
3
=
200
という計算式を見たときに、
「合計金額600円を買った個数の3で割ると1個の金額は200円になる」という説明ができるのかどうか、ということです。
式の説明をしながら計算する習慣
家庭学習で問題集の丸つけをするとき、親としては子どもが自分で式を立てて計算ができていれば安心、と思うでしょう。
しかし、もう少し踏み込んだ習慣で文章題でもつまずかないように備えましょう。そのためにもどうしてその式になったのかを子どもに説明させます。
×
0.04
=
4
これを見て
「100gの4パーセント食塩水に含まれる食塩は4g」と答えられれば、その式の問題を理解をしていることになります。
また、
Aさんは図書館で250ページある本を借り、3日間で全体の40%を読みました。
残りのページ数はあとどれだけありますか。
と「3日間で40%」という少し文章の数字で引っかかりやすそうな場合にも
250
×
0.4
=
100
(ページ)
が全体の40%にあたるページ数で、それを全体のページ数(250)から引くので、
250
–
100
=
150
(ページ)
150ページが残りのページ数である、
と導き出せるようになるでしょう。
算数といえども、言葉をきちんと理解する国語能力と、きちんと式の意味を言葉で伝えられる表現力が問わるのです。
式とその説明でつじつまが合えば自然と計算すれば正解になりますし、説明に行き詰まれば子どもが自分で間違いに気づくようになるでしょう。
そのためにもこの式を説明しながら計算をする習慣はとても役立ちます。
小学生算数の最大の難関の1つである「割合」のかけ算わり算の計算は、今まで慣れ親しんできたものとは違うものになります。
1未満の数字をかけたり割ったりするのは今までの計算の感覚と異なることを意識しながら計算の経験を植え込んでいきましょう。
また、その後の文章題でつまずかないためにも、常に式からその数字の意味を説明できるように数字と言葉を意識し、子どもが混乱しないように親が導いていく習慣を身につけましょう。