目の前の問題の解き方を覚えることよりも大切な「考え方」を身につけること
ご自身の経験から、時間をかけて知識をどんどん詰め込む勉強の仕方を、子どもにさせてしまう親御さんをたまに見かけますが、中学受験には逆効果になってしまうことがあります。
ここでは、どうしてそのような勉強が逆効果なのか、具体的にご説明していきたいと思います。
昔の大学受験と今の中学受験の勉強方法はまったく異なる
有名な大学出身の親御さんにも多いのですが、ご自身の受験経験をそのまま子どもの中学受験の勉強にあてはめようとすることがあります。
特に暗記中心の勉強でもなんとかなった経験をお持ちの方は、それをそのままお子さんの勉強に活かすことに危険性が潜んでいることを、知っておいていただきたいのです。
大学受験と小学生の勉強方法を一緒にすること自体に無理があるのですが、「自分はこういうやり方で受験に成功したから、子どもにも同じ方法で教える」というのはむしろ逆効果にもなりかねません。
単語やパターンをとにかく暗記すれば点数が伸びるはずだ、という思い込みから、とにかく時間をかけて、どんどん詰め込む。
そんな勉強の仕方を押しつけて子どもに厳しく指導する親御さんも見かけます。
お気持ちはわかるのですが、これでは学習効果が出ないだけでなく、子どもの可能性を潰してしまいかねません。
大学受験を経験しているすべての親御さんに理解していただきたいのですが、高校生なら新しい知識を暗記したら、前からある知識と自然につながったり、関連づけができるかもしれません。
でも、小学生の子どもの場合、暗記によって知識をどんどん詰め込んでも、過去に覚えた記憶とうまくつながっていくとは限りません。
使わない記憶は薄れる傾向にあるので、せっかく覚えた知識は、それぞれに関連づけができないまま、効率よく使うことができないのです。
知識を、経験や体験と結びつけることが大切
中学受験の場合、それが難関校であればあるほど、ただ問題を解く力ではなく「この問題をどう考えるか」が問われるような問題が出されます。
この「考える力」が合否を分けるポイントになるこので、勉強の焦点もこの部分に当てるように心がけたいですね。
小学校のテストも、4年生までは復習や暗記でいい点数を取ることはできますが、6年生になると「考える力」が問われるような問題が多く出されるようになります。
ですので、ただ単に知識として覚えるのではなく、子どもの経験や体験と結びつけ、関連づけることによって、「考える力」を養ってあげるようにしましょう。
たとえば、「速さ」の学習で
- 距離=速さ×時間
- 速さ=距離÷時間
- 時間=距離÷速さ
と、「速さの3公式」を丸暗記するのではなく、「家から学校に行くのに、歩いていくのと走っていくのと、どちらが早く着くことができる?」と子どもに考えさせてみましょう。
すると、自分の経験から「スピードを上げると、時間は短くなるんだ」ということを納得することができます。実際に経験したことなら具体的に考えることができるので、ただの暗記だけでなく、考えながら解くことにつながります。
少し遠回りに思えるかもしれませんが、「考える力方を身につける」ことを優先させて学習を進めていく方が効率的なのです。
大人がそれを意識しておくと、子どもが近くで勉強しているときに、経験や体験を引き出して考える習慣を身につけさせることができます。
ぜひ試してみてください。