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【首都圏セミナーレポート】2019年入試分析からみる2020年の入試対策(前編)

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公開: 最終更新日:2021年07月15日

2019年2月21日に都内で実施された、首都圏入試分析のセミナーの内容をお届けします。
前編では、西村先生による首都圏中学受験の全体的な入試傾向と、高野先生による算数の入試分析と今後の対策についてお伝えします。

今年の特徴は、論理力、共感力、探究心

まず、西村先生から、先月行われた関西でのセミナーの報告と、2019年入試の関東と関西のちがいについてお話がありました。
「関西では、算数の平均点が下がりました。その理由は、問題が難しくなったのではなく、一歩一歩積み上げないと解けない問題になったからです。でも、関西では国語は解きやすくなった傾向がありました」とのこと。

【首都圏セミナーレポート】2019年入試分析からみる2020年の入試対策(前編)

しかし、関東では逆に、国語が難しくなったようです。なぜこのような変化が起きたのでしょうか。

「変化の原因はふたつあります。ひとつは、大学入試改革。もうひとつは、入試問題の担当の先生と塾のいたちごっこが臨界点に達したと言えるでしょう」
また、中学校側の気持ちとしては「自分で考えることができる生徒」が欲しいので、基本に忠実な問題を出したほうが、思考力の高い生徒に入学してもらえるのではないかという期待もあるのではないかと西村先生は分析しています。

「今年の傾向としては、シンプルな論理力が問われる問題が目立ちました。なぜ出題者はこれを問題に出したのだろう?という共感力や探究心など、普段の学習方法が問われる入試に変わったのです」

学習の「マインド」が問われている

今回の入試で求められていたのは、「人の話を正確に理解しようとする心」「正しい答えを探求する心」。学習に取り組むときの「マインド」が改めて問われていたそうです。
その力を育てる学習法として、西村先生は2つのことを提案します。

1.スピーディーな学習とスローな学習

通常の塾で取り組むようなスピーディーな学習はもちろんのこと、「スローな学習」も大切です。
問題文をじっくり読み、なにがわかっているか、なにを聞かれているかをしっかり理解することです。
出題者が求めることをじっくり考える習慣を身につけさせてあげてください。

2.自問自答型の学習

一度、導き出した答えに対して、「本当にこの答えでいいのかな?」という自問自答をしながら学習を進めていきましょう。

この学習法で、指導者と親に必要なことは

「指導者に必要なのは、子どもの思考に寄り添う力です」と西村先生。
「寄り添う」というのは、知識を上から与えるという方法ではなく、学習内容をおもしろがらせて、子どもに考えさせるということだと言います。

さらに西村先生は、「親に必要なのは、子どもを観察する力と、子どもの努力を認める力です。これは日常生活の中でとても大切です。そして、子どもにとってよい指導者を見つけてあげるのも、親の重要な役割でしょう」と言います。
また、中学受験に挑戦する子どもの親としての心構えとして、必要とされている学力の「質」が変化していることを知るべきだということ、そして、子どもの「心の余裕」を大切にすること、の2つを挙げました。

中学受験対策において、大量演習の効果はどんどん薄れているのです。

2019年入試、算数の傾向

【首都圏セミナーレポート】2019年入試分析からみる2020年の入試対策(前編)

次に、名門指導会主任講師の高野健一先生から、首都圏の算数入試問題についてのお話がありました。
「今年、例年に比べて入試問題が難しくなった学校は、開成・筑駒・女子学院・豊島岡です。逆に易しくなったのは、武蔵・桜蔭・雙葉、渋渋・早稲田・早実・浅野など。特に雙葉は、受験生に聞いたら時間を持て余した子もいたほど、易しかったようです」

なぜ、易しくなったのかを、高野先生はこのように分析します。
「これは学習の3要素をバランスよくのばそうという流れだと思います。3要素というのは、

  1. 知能、技能
  2. 思考、判断、表現
  3. 主体性、協働性

ですが、これを、バランスよく評価しようという表れではないでしょうか」
算数は思考力を問いやすいので、問題も難しくなりがちですが、入試問題を作る側は「期待通りの生徒をとりたい」という気持ちです。
近年の傾向として、思考力のある生徒をとりたいという期待があるようです。

算数、学校ごとの傾向と対策について

入試問題は学校ごとの個性があり、それぞれの試行錯誤の結果です。それぞれの学校の特色を高野先生は以下のように説明しました。

開成

今年の入試では、バランスよく問題が出されました。定型的手法、緻密な処理、論理的思考を求めるような問題です。今年の特徴としては、問題文が長いことでした。

桜蔭

例年、強靭な処理と緻密な読解を求めてくる桜蔭の入試問題ですが、今年はそこまで処理力を求める問題は出題されませんでした。開成と同じく、問題文が長いのが今年の特徴でした。
長い問題文は、情報整理力が必要です。与えられた情報からなにがわかるのか、答えを出すために必要なことはなにか、ということを考える必要があります。これまでに学習した手法をどのように使うかが問われるとも言えるでしょう。

駒場東邦

難易度が高い問題は減りました。そのかわりに「図を描く」「調べる」など、手を動かして考えると取り組みやすい問題が増えたようです。

麻布

普通の問題に加えて、目新しい問題が出題されました。目新しい問題は、誘導がていねいになってきたので、流れに沿って考えられる子には解きやすいでしょう。

以上、算数についてのお話でした。
次回の記事では、理科と国語の入試問題の傾向と分析についてお届けします。

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