論説文の読解のポイントとなる「対比」を読み取る声かけとは
国語、特に論説文の読解において、問題を上手に解いていくためには「対比」を使った読み方をマスターする必要があります。
ここでは、対比を使った実践的な読解法について考えてみたいと思います。
読解における「対比」とは
対比とは「2つを比べることで、それぞれの特徴をつかむ方法」です。
専門的な言い方だと「二項対立思考」といいます。
たとえば、あなたがネットショップで本棚を探しているとします。
ちょうどよさそうな本棚が見つかりました。
もしも、そのお店が本棚そのものの写真しか載せていなかったらどうでしょう。
すぐ買うのは勇気がいるなあ…
サイズはどれぐらいなんだろう?
部屋の雰囲気に合うかしら?
そう感じるかもしれませんね。
本棚そのものの写真だけでは、よく分からないからです。
ですから、よく売れているネットショップでは、ひと工夫した写真を載せています。
女性が書棚から本を取り出そうとしている。
背景には壁紙やカーテンの色と柄もよく分かるように映っていて、明るい色調の部屋によく映えることがわかります。
雑誌のサイズ、女性のサイズと「比べる」ことで、本棚の大きさがはっきりとつかめます。
壁紙やカーテンを、自分の部屋のものと「比べる」ことで、その本棚が自分の部屋に合いそうかどうか、具体的なイメージがつかめます。
他のものと比べることで、お互いの特徴をはっきりとさせるということです。
何のことはない、私たちが日常的に行っている考え方です。
もちろん文章においても、対比の考え方がたくさん使われます。
論説文の読解でできる親の声かけとは
論説文なら、対比を使うことによって、筆者の考えがどのような独自性を持っているのか説明できるのです。
たとえば、哲学と科学について書かれた論説文の読解を考えてみます。
読み進め方としては、それぞれの違いを拾い上げ、整理していくことになります。
共通点についても整理できると、さらに理解が深まるでしょう。
この「哲学と科学の比較」についての読解問題をお子さんが解いている場合、親御さんはどのように声かけをしてあげればいいでしょうか。
まず、お子さんが最初の五行ほどを読んだところで
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お母さん「何と何が比べられている文章?」
お子さん「哲学と科学」
お母さん「今読んだところまでに、共通点は書いてあった?」
お子さん「うん。どっちも好奇心をみたすために発展したことと、ヨーロッパ派の学問というところが共通点かな」
お母さん「違いは書かれていた?」
お子さん子「ううん、まだ。これから説明されるみたい」
母「そっか、じゃぁお互いの違いを整理しながら、読んでいこうね」
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対比をつかむとは、「共通点」と「違い」を読み取ることです。
このように声をかけることで、「哲学と科学との違い」に注意を払って続きを読んでいけばいいことがお子さんにもわかりますね。
文章を対比でとらえるということはどういうことか
「違いが分かるところが出てきたら、線を引いてみるといいね」とアドバイスするのも良い方法です。
このような意識づけをすることで、たとえば
”それは哲学の問題です。科学者の答えることではありません“といった部分に目が留まりやすくなるでしょう。
お子さんの目がこの行に留まったと気づけば、すかさず「何か気付いた?」と声をかけてみましょう。
そして「続きには、哲学と科学どちらの話が書かれているの?」などと聞いてみましょう。
というのも「文章を対比で捉える」をというのは、
「A(哲学)は◯◯であるのに対して、
B(科学)は□□である」
というふうに物事をとらえることだからです。
A(哲学)とB(科学)について、主語と述語が整った状態で説明できるようになるということでもありますね。
その材料として、1つ1つの文がどちらについて書かれているかを「仕分け」していく必要があるのです。
さて、今回は論説文の読解において、お子さんが「文章を対比でとらえる」ために親御さんにできる声かけについて考えてみました。
論説文の多くは、この対比の構図で筆者の言いたいことを読者に伝えようとしています。
ぜひお子さんに「この文章はどっちについて説明している?」という問いをたくさん投げかけてあげてくださいね。