中学受験をするなら夫婦の○○は不可欠
ご家庭で中学受験の話題を最初に出すのはお母さんであることが多く、最も多いお父さんの反応は「そんなに言うならやってみたら?」という、一見賛成を装いながらも「積極的には関わりたくない」という気持ちの表れだったりするようです。
ここでは、中学受験について夫婦でどう話すのがよいかについて考えてみます。
目の前の子どもを見つめて考える
中学受験を考えるのは、子どものためを思ってのこと。
いちばん大切な視点は「その子にとって中学受験がどうなのか」ということです。
お母さんが中学受験を考え始めるのは、もしかしたら他の子が受験するという話を聞いたからかもしれません。
もしくは、子育て情報で中学受験がいいという内容を見かけたのかもしれません。
近年は、地域によっては「4人に1人の小学生が中学受験をする」と言われています。
確かにそういう地域もあるのが事実ですが、それは東京都のある区だけのことだったりもします。
私立の中高一貫校は高校受験がないので、中学校3年生でも受験勉強をせずに高校過程の学習に進むことができます。
その結果、大学受験の勉強に早めに取りかかることができ、有利だといわれることもありますが、結果は人それぞれです。
そのやり方がすべての子どもにとっていいわけではありませんので、中学受験がその子に合っているかどうかは、親が見極める必要があります。
・中学受験をするなら3年間塾に通うことになる
・大好きな習い事やスポーツと両立できない可能性がある
・今無理に中学受験するのではなく、高校受験で頑張った方が伸びるタイプかもしれない
など、親が考えるべきポイントはたくさんありますが、最も大事なのは「我が子がいちばん楽しそうにしているのはどんな時なのか。それを伸ばしてあげられるのはどんな環境なのか」を考えることです。
まずは、その意識を夫婦で共有してから話してみるといいでしょう。
中学受験に不可欠なのは「夫婦の意見一致」
中学受験を言い出すのはお母さん、それをなんとなくお父さんが認めて始まる…というパターンだと、途中で家族みんながしんどくなることが多いようです。
中学受験の勉強をするのも、入試に挑戦するのも、合格した学校に通うのも、当然ですが親ではなく子どもです。
しかし、中学受験は親のサポートなしでは成り立ちません。
早い段階で夫婦の意見を一致させておくと、いろいろな面でスムーズに進めることができます。
現実的にサポートするのは、子どもの近くにいるお母さんになりがちで、お母さんもそれを納得していますが、すべてを担っているとどうしても煮詰まる時があります。
そんな時に陥りやすいのが「中学受験に賛成したんだから、あなたも少しは協力してよ」「仕事があってなかなか時間が作れない。言い出したのは君じゃないか」という夫婦喧嘩です。
お母さんからすると「夫が協力してくれない」というストレスが溜まって、それがイライラの原因になり、子どもにきつく当たってしまうという悪循環に陥り、それが自己嫌悪につながってさらにストレスに…というループにはまってしまいます。
お母さんがギスギスしていると、子どももピリピリして不安定になってしまい、勉強どころではなくなってしまいます。
そうならないために、まずは夫婦の意見を一致させて、早い段階から準備を始めておくことが重要です。
夫婦で中学受験について話すタイミング
一度塾に入ると、よほどの家庭方針がない限り、塾のペースで中学受験の準備が進んでいくことになります。
ですので、夫婦や家族で中学受験について検討するのは、遅くとも入塾前に済ませておく必要があります。
多いのは、子どもが3年生の夏休み明けごろに家庭で中学受験を考え始め、そうこうしているうちに入塾テストの時期になり、夫婦でお互いの意見のすり合わせができていないまま「とりあえず入塾テストを受けさせて、その後でゆっくり考えよう」というケースです。
この後はもう、言われるままに入塾し、塾のペースから抜け出すことができません。
理想を言えば、子どもが小学校に上がる前に話しておけるといいでしょう。
その時に「中学受験をするのかしないのか」ということだけではなく、子どもをどんな風に育てたいのか、子どもの力を伸ばしてあげるにはどんな環境が理想か、という視点で話をしておくと、夫婦の価値観のすり合わせにもなります。
夫婦で意見が一致していると、子どもにもそれが伝わりやすく、落ち着いて取り組めます。
逆に一致してない場合、子どもが不穏な空気を読み取って集中できなくなることがあるの
で、気をつけましょう。
勉強より大切な中学受験の準備とは
このように早い段階で教育方針を決めておくと、中学受験をするなら事前に準備をすることができます。
子どもは塾に入ったからといって、突然自分から勉強するようになることはありません。
自分で行動を起こす子にするためには、小学校に入る前の幼児期から、自分の行動を自分で決めさせる経験を積み重ねることが不可欠です。
そのための声かけを意識して行うといいでしょう。
1.「今日は何がしたい?」
子どもに自分でやりたいことを考えさせる
2.「今日は何をやる?」
自分でやりたいこと、やるべきことを考えて、実際に何をするのか決めさせる
3.「今日は何をやる方がいい?」
やりたいことではなく、やるべきことを自分で決めて自分で動けるようにする
この3段階を意識して子どもに声をかけ、自分で決めたことを自分でやるという経験を積み重ねていきましょう。
この時に大事なのは、ちゃんとやったかどうかという結果ではありません。
子どもが自分で「これをやる」と決めたことが重要です。
多くの親がやりがちなのが「うちの子はまだ幼いから」と決めつけて、子どもの行動にいちいち指示を出すことです。
それをずっとやっていると、親が指示を出し続けなければ、自分からは何もしない子になってしまいます。
中学受験をする上で、自分でやることを決められないのは致命的です。
親が「今日は算数と理科ね」「社会のこの単元を今日中に終わらせること」と、毎日細かい指示を出し続けることは不可能です。
子どもに自分で考えて決めさせる方が近道なのです。
家族にとって中学受験を「貴重な経験」に
このように、中学受験に対する夫婦の意見一致を早い段階で意識しておくことのメリットは大きいのです。
夫婦で意見が一致していたら「子どもにこういう環境を作ってあげたいから、今はこうしよう」と、幼児期から逆算して準備をすることができるからです。
中学受験が子どもにも親にも苦しいだけのものにしないためにも、早めにするかしないかを決めておくことが大切です。
そうすることで、中学受験という経験が家族にとってかけがえのない出来事として、その後の子どもの人生に大きく影響します。
子どもにとっても親にとっても、少しでもストレスを減らして中学受験の時期を乗り切るために、まずは夫婦で意見を一致させることから始めてみてください。