中学受験にのぞむご家庭で、父親が果たすべき役割とやってはいけないこと
お子さんが中学受験をすると決めたとき、父親が受験勉強にどのように関わるかは、ご家庭によって千差万別です。
お父さんが積極的に受験勉強に関わる場合もあれば、仕事が忙しくてほとんど関われないという方もおられるでしょう。
長年たくさんのご家庭の中学受験をサポートしてきた経験から、受験に成功したご家庭の父親が果たしている共通の役割について、このコラムではお伝えします。
父親にしかできないこと
これまでの人生経験を活かし、父親としてできる協力にはどのようなものがあるでしょうか。
お母さんほどこまめにフォローするのが難しいというお父さんも多いと思いますが、父親にしかできない役割としては以下のようなことがあります。
お母さんの相談役
お父さんは、お子さんにつきっきりで受験勉強をサポートするお母さんに比べて、常時関われないからこそ、物事を冷静にみて判断する存在になり得ます。
要所要所で「どうしたらいい?」というお母さんの小さな悩みを聞いてあげるだけでもかまいません。
お母さんも相談できる人がいることで、安心してお子さんの受験のサポートができます。
忙しい中でもお母さんが相談しやすいように「最近どう?」など意識的に声をかけましょう。
それだけで、日々家にいる時間が短くても「気にかけてくれている」ということがお母さんに伝わります。
社会での経験を活かす
お母さんが専業主婦のご家庭なら、お父さんは仕事で培った経験を活かし、お子さんの中学受験を母親とも塾ともちがう視点でサポートできます。
具体的には時間の管理、的確な目標を設定するなど、母親より中期的かつ戦略的な視点から提案するのがお父さんの役割です。
また仕事と同様、受験も自己管理が大事です。
遅刻をしない、あいさつをするという最低限のマナーから「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」、目標を達成してそれが目に見える「合格」という形になる充実感など、子どもに伝えられることがたくさんあります。
また、お母さんがパソコンでの勉強時間や達成度の管理が苦手なら、そういった分野でお父さんが活躍できそうですね。
うまくいかない時の心の支え
お子さん、お母さんが一生懸命取り組めば取り組むほど、煮詰まってしまうこともあります。
また、思うような結果が出ないときは落ち込んでしまうでしょう。
そんな時こそ、父親の出番です。
「これだけがんばったんだから、次に結果が必ず出る」とお子さんを励ましたり「今回の失敗は、自分がフォローするから大丈夫」と母親に声をかけたり、うまくいかない時の心の支えという存在になりたいものです。
「いつもがんばってるね」とお子さんやお母さんを労うだけで、落ち込んだ気持ちが救われます。
やってはいけないこと
逆に、父親がやってはいけないことはどのようなことなのでしょうか。
勉強に取り組んでいるご家庭の父親が気をつけるべきポイントをまとめてみました。
結果だけを見て子どもを叱る
お父さんが、お母さんに比べてお子さんの受験勉強に関われる時間が短いご家庭も多いと思います。
だからこそ、結果より過程を評価するという意識が大切です。
試験などの結果だけを見て叱ったり「なんでこんな成績なんだ」とお子さんを責めても問題は解決しません。
そこには必ずなんらかの原因があるので、それを究明することを優先しましょう。
母親を否定する
受験勉強に取り組むお子さんを必死でサポートしているお母さんを否定するような言動は避けましょう。
お子さんに中学受験をさせるということは、ご家庭の方針として決定したはずです。
家族が一丸となって同じ目標に進めるように、お母さんと意識を共有し足並みを揃えることが大切なのです。
お母さんが受験勉強を懸命にサポートしているのに、お父さんが「中学受験なんてしなくていい」という態度をとるといったことがあると、お子さんは混乱します。
日々サポートするお母さんを労う言動をお父さんがとることで、お子さんも安心して受験勉強ができます。
気まぐれで連れ出すなど
「がんばったから今日はごほうびに外食しよう」など、受験勉強に密接に関わっていないと、ついつい塾や学習計画を無視してお子さんを誘い出してしまいがちです。
日々忙しいので時間ができたときに何かしてあげたい、という気持ちは大切なのですが、お子さん、お母さんにも予定や心積もりがあります。
息抜きするタイミングを母親や塾と共有し、それを尊重して邪魔しない範囲で連れ出してあげるとはいいですね。
いざという時に頼られる存在に
中学受験をするご家庭の父親は、おさえるべきポイントをしっかり押さえて、いざという時に頼られる存在でいるのが理想的です。
もちろん時間が許すなら、より密接に受験勉強に関わってもいいでしょう。
きっと父子の絆が育まれる貴重な時間になると思います。
いずれにせよ、受験について家族で目標を共有することが重要です。
お子さんの受験について、定期的に夫婦で話す時間が持てるといいですね。