子どもに論説文をきちんと理解させる親の関わり方とは
算数が苦手教科だという子どもは多くいます。
親も子どもの苦手教科である算数を克服するため、計算や公式、図形などの訓練を積むことだけに集中し、努力する家庭も多いものです。
しかし気づいていなかったけど実は国語力が足りていなかった、というケースもよくあります。
ここでは、家庭でできる「論説文をきちんと理解させる訓練方法」を紹介します。
国語のつまずきは見えづらい
国語は算数のように解答が◯か×か、という問題ではないケースが多くあります。
漢字の問題などは絶対的な正解不正解があるものの、文章問題となると非常にファジーな要素が増えるのです。
そのため実は国語が苦手だった、ということ自体に気づかないことがよくあります。
そしてそのまま進級や進学していく子どもが非常に多いのです。
これは後に非常に深刻な問題へとつながっていきます。
例えば中学生になっても前後の文章や段落の関係性がわからない、というつまずきが出てくるようになります。
そのような子には、論説文になると特に分からなくなるケースが多く見られます。
最初の段落で何を提示しているのか、何について語ろうとしてそれはどんな意味合いを持つかがまず伝わりません。
そして、締めくくりでの結果はどうだったのか、何を筆者が言おうとしているのか、という点が理解できないのです。
それぞれの段落の必然性や脈絡、文の流れなどに目がいかないため、論理を前提にした文章の読み方ができないのです。
論説文と物語を読む国語は種類が違う
国語を苦手教科としない子どもの中に、物語文が得意だという子も多いかもしれません。
論説文などと違い物語文は感覚的にとらえることができたら、あいまいな読み方でもある程度の点数が取れるからです。
しかしこれが論理的な文章となるとまた話は別です。
論理的な文章は感覚だけでは絶対に読みきれません。
何となくの感覚で解答している子の場合、国語やそのほかの教科でも選択問題で根拠なく当てずっぽうに解答しているケースが多く見られます。
それでは本質的に問題を理解しているとは言えません。
しかし、そのような子はそれなりに選択肢を狭めていくテクニックを身につけています。
感覚的に答える癖のある子は選択問題が出題されると、まず明確に違う選択肢から消去していくという方法をとります。
それでも大体の場合には2つくらいの選択肢が残っています。
そこからどうするかというと、極端な例ではその二択は運だめしになるのです。
特に根拠もないまま、多分こっちだろうという風に答えを選んでいきます。
間違う確率が半分ありますが、正解する確率も同じく半分あるのです。
これは受験のための点数を稼ぐ困ったときのテクニックとしては全く否定はできませんが、それだけが身についていくのはよくありません。
この方法では半分の確率で運が良ければ正解してしまうため、親はもちろんのこと、子ども自身も国語が苦手だとは思いもしません。そして国語のつまずきに気づかないままになってしまうことがよくあるのです。
運だめしで答えていないかを確かめる方法
実際に子どもが問題を運だめしで解いているかどうかを確認する方法は簡単です。
子どもがなぜその答えを選択したのかを親がきちんと聞くことです。
たとえば「どうしてこの問題の答えにイを選んだの?」と聞いてみましょう。
そのときに子どもから「だって、何となくそう思ったもん」とか「そんな気がした」などというあいまいな言葉が返ってきたら、それは運だめしで解答したということです。
きちんと論理的な考えと理由があって選択できなければ、本当にその問題を理解しているとは言えません。
できるだけ早めにその点に気づいて、国語との向き合い方を考えていきましょう。
正解を答えるよりも大切なのは過程
これは国語に限らずどの教科にもいえることですが、「答えさえ合っていればいい」という考えでは学習の理解は全く深まりません。
どうしてその答えになったのかといった答えにたどり着くまでの過程や道筋をしっかりと理解し、説明できるようになることが重要です。
論理的な思考を養うためにも、説明文や論説文はとてもいい教材になります。
今、論説文が苦手だとしてもそのつまずきに気づき、親が積極的に声かけや質問をして子どもにどうしてその答えを選んだのか、と考えさせる機会を作りましょう。
そうすることで論説文を苦手だといって逃げたり、あいまいにごまかすことが減ってくるでしょう。
それが習慣化すれば子どもが解答するとき、意識的に理由を気にしながら答えを選択するようになるでしょう。
論説文に関してはすぐに苦手が克服できる、というものではないと思いますが、今後のことを考えていくとていねいに学習していく必要があります。
ぜひ親子でテストの答案を見ながらコミュニケーションを取って、選択問題の答えの理由を確かめ合い、答えに至る道筋をお子さんが説明できるような時間を作ってみてはいかがでしょうか。