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第716回 男子中の入試問題 平面図形 5

「第716回 男子中の入試問題 平面図形 5」

ここまで、近年に男子中の入試で出された「平面図形」の問題について考えています。

今回は「移動」がテーマの問題を取り扱います。

 

1問目は「点の移動」の基本問題です。

 

【問題】点Pは、図1のような図形の周りを毎秒2㎝の速さで、A→B→C→D→Eの順に移動します。図2は、点Pが出発してからの時間と、三角形PAEの面積の関係を表しています。

(1)ABの長さは何㎝ですか。

(2)AEの長さは何㎝ですか。

(3)出発してから7秒後の三角形PAEの面積は何㎠ですか。

(佼成学園中学校 2024年 問題3)

 

【考え方】

(1)

点Pが図形の頂点を通過するとき、グラフが折れ曲がります。

グラフより、点PはAからBまで移動するのに5秒かかることがわかります。

2㎝/秒×5秒=10㎝

答え 10㎝

 

(2)

5秒後に点PはBにあり、そのときの三角形PAEの面積は60㎠です。

AE×10㎝÷2=60㎠ → AE=60㎠×2÷10㎝=12㎝

答え 12㎝

 

(3)

点Pは7秒間に

2㎝/秒×7秒=14㎝

移動しますから、7秒後にはBC上の

BP=14㎝-10㎝=4㎝

の位置にあります。

また、点PはBからCまで移動するのに

10秒-5秒=5秒

CからDまで移動するのに

13秒-10秒=3秒

DからEまで移動するのに

14秒-13秒=1秒

かかりますから、

BC=2㎝/秒×5秒=10㎝

CD=2㎝/秒×3秒=6㎝

DE=2㎝/秒×1秒=2㎝

です。

右上図で、三角形BCFと三角形PCGは相似で、相似比は

BC:PC=10㎝:(10㎝-4㎝)=5:3

ですから、BF:PGも5:3です。

(10㎝-2㎝):PG=5:3 → PG=8㎝×3÷5=4.8㎝

ですから、7秒の三角形PAEの高さは

4.8㎝+2㎝=6.8㎝

です。

12㎝×6.8㎝÷2=40.8㎠

答え 40.8㎠

 

本問は、点が移動する時間と面積のグラフの読み取りが確認できる問題です。

なお、(3)では、面積が変化する割合から答えを求めることもできます。

12㎝×2㎝÷2=12㎠ … 10秒後の面積

ですから、5秒から10秒後までは

(60㎠-12㎠)÷5秒=9.6㎠/秒

の割合で面積が減ります。

60㎠-9.6㎠秒×(7秒-5秒)=40.8㎠ … 7秒後の面積

 

2問目は「図形の転がり移動」の問題です。

 

【問題】図は、2点AとBを結んだまっすぐな線の上に、半径3㎝の半円と半径3㎝のおうぎ形2つをすき間なく並べたものです。この図形の周りを、半径3㎝の円が離れないようにして1周します。円の中心Oが動いたあとの線の長さを求めなさい。円周率は、3.14を用いなさい。

(立教新座中学校 2024年 問題1-(5) 問題文一部変更)

 

【考え方】

円が1周する様子を作図します。

(図1)

水色のおうぎ形と点Cで接している円Oの中心は、Cを中心に半径3㎝、中心角90度のおうぎ形の弧をえがきます。

(図2)

三角形OAPはOA=AP=PO=6㎝の正三角形ですから、水色のおうぎ形と点Cで接していた円Oの中心は、Aを中心に半径6㎝、中心角30度のおうぎ形の弧をえがきます。

(図3)

三角形O’PBも正三角形ですから、緑色の半円と点Dで接していた円Oの中心は、Pを中心に半径6㎝、中心角60度のおうぎ形の弧をえがきます。

(図4)

円Oの中心は、Bを中心に半径6㎝、中心角30度のおうぎ形の弧、さらにFを中心に、半径3㎝、中心角90度のおうぎ形の弧をえがきます。

(図5)

円Oは折れ線FBACから離れないように動いて、1周し終えます。

3㎝×2×3.14×(90度×4)/360度+6㎝×2×3.14×(30度+60度+30度)/360度+3㎝×2+12㎝=49.4㎝

答え 49.4㎝

 

本問は、円が円周の一部や直線にそって転がるときの作図を確認できる問題です。

円やおうぎ形の周上を転がるときは、回転の中心がその円やおうぎ形の中心となることに注意をします。

 

3問目も「図形の転がり移動」に関する問題です。

 

【問題】1辺の長さが5㎝の正三角形ABCの各頂点を中心とする半径5㎝の3つの円があります。3つの円の共通部分を図形Dとします。

図形Dが直線上をすべることなく転がるとき、図形Dが通る部分として適切なものを(ア)~(エ)から選びなさい。

(巣鴨中学校 2024年 問題4-(2) 問題文一部変更)

 

【考え方】

図形Dは、始めに点Bを中心に赤線のおうぎ形の半径ABが直線と垂直になるまで回転します。

次に、弧BCが直線から離れないように、おうぎ形の半径ACが直線と垂直になるまで転がります。

このとき、点Aは青色の円の中心と考えることができます。

円が直線にそって転がるとき、円の中心は直線と平行に動きますから、点Aは図のア青色太線のように動きます。

ここまで作図を進めると、(ア)、(ウ)、(エ)のような「曲線」をえがかないことがわかります。

答え (イ)

 

本問は、中心角の大きさが60度のおうぎ形を3つ組み合わせた図形(「ルーローの三角形」と呼ばれます)の転がり方を確認できる問題です。

組み合わさっているおうぎ形1つ分の動きに着目して作図をすることがポイントです。

 

今回は、2024年度に男子中の入試で出された「移動」をテーマとした問題をご紹介しました。

1問目のグラフの読み取りや2問目の作図方法は大切な考え方です。

もし、正解できない問題があればどこで間違えたかを調べ、類題でおさらいをしましょう。

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図形の練習問題 / 中学入試の算数問題 2025年03月29日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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